研究課題/領域番号 |
26250017
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高橋 均 新潟大学, 脳研究所, 教授 (90206839)
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研究分担者 |
小野寺 理 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20303167)
豊島 靖子 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (20334675)
他田 真理 新潟大学, 脳研究所, 助教 (30646394)
清水 宏 新潟大学, 脳研究所, 助教 (40608767)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 神経病理学 / 脳神経疾患 / 神経変性疾患 / TDP-43 |
研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis; ALS)は、成人を侵す神経変性疾患である。病理学的には、残存する下位運動ニューロンの胞体内に出現するユビキチン陽性の封入体が病因に直結する所見とされてきた。2006年、この構成成分として核蛋白であるTDP-43が同定された。我々は孤発性及び家族性ALSを、詳細にTDP-43による免疫組織化学的検証を行い、本症が運動神経のみならずグリア細胞を含め広汎な広がりをもつ疾患であること、さらにTDP-43の遺伝子変異を発見し本症にTDP-43が根本的に関わっていることを示した。しかし、「TDP-43の細胞レベルにおける核からの消失と細胞質での凝集体形成、及びそれが引き起こす細胞死の系統(運動神経系)選択性について」は、まだ不明である。我々は、ALSの細胞レベルでのTDP-43病理と系統選択性の分子病態機序を明確にすることを目的とした。まず,本年度は、患者剖検組織におけるTDP-43 異常スプライシング産物の病理学的意義の検証を行った。一般に病態に関係する不溶性封入体の形成とその成長には、はじめに“種”が形成されることが重要とされる(シード仮説)。しかし、この最初のシードが明らかでない。我々は、TDP-43がエクソン6内で2カ所にイントロンを形成する選択的スプライシングを行い、その量を自己調節していること、このスプライシングの過程で生じる異常蛋白がシードとなる可能性を明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに、スプライシング多様体の同定に成功している。またパラフィン切片を用いたRNA解析方法も確立している。今後、更に本方法を発展させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
免疫組織化学的及び in situ hybridization法にて、次の2点を明確にする。A) 本異常バリアントmRNAの増加がTDP-43陽性封入体の形成に先行するか否かを検証する:単一細胞でバリアントmRNAとTDP-43陽性封入体、核外移動の関連を検証する。まず、TDP-43とSpバリアント特異抗体での2重免染により、両者の関係を明確にする。次に、患者剖検組織において、一細胞レベルでのTDP-43 異常スプライシング産物のmRNAとTDP-43病理像との関連を検討する。方法として免疫組織化学法、レーザーマイクロダイセクション法とDroplet digital PCR法を用いる。さらにQunatiGene 174; ViewRNA法を用い、スプライシングバリアントを特異的に認識する in situ hybridization probe とその定量方法の開発を試み、TDP-43陽性封入体と本バリアントmRNAとの関連を可視化して提示し、mRNAレベルでの変化がTDP-43病理像に先行するか、否かを検証する。
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