研究課題/領域番号 |
26250024
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
若菜 茂晴 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソースセンター, チームリーダー (90192434)
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研究分担者 |
掛山 正心 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (30353535)
古市 貞一 東京理科大学, 理工学部, 教授 (50219094)
山末 英典 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80436493)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2017-03-31
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キーワード | 発達障害 / 自閉症スペクトラム / マウス / 表現型解析 / 社会行動 |
研究実績の概要 |
研究代表者若菜茂晴は、ヒト精神疾患における診断基準DMS-の改訂に伴い、デメンジョナルな側面を考察しNIMHが開発したRDoCのコンセプトに基づいて疾患モデルの多面的な症状形質の解析を取りいれた新たなマウス行動表現型解析パイプラインを構築した。これまで20系統に及ぶ精神疾患関連遺伝子KOマウスのパイプラインによる行動解析を実施した。現在各系統のデータを精査し、統計処理を行って精神疾患研究モデルマウス候補がどのような側面に異常をきたすかを視覚的に示す解析を行っている。研究分担者古市貞一は、自閉症スペクトラム障害の特徴である社会的相互作用の欠損に類似した表現型を示すCAPS2 KOマウスを用いて、慢性ストレス負荷に応答したストレスホルモンとインスリンの内分泌に異常をもつことを明らかにした。その結果CAPS1が開口放出分子シンタキシンの結合部位で低分子量GTPaseのセプチンに結合することが示され、CAPS1-セプチン-シンタキシンの相互作用が分泌小胞の輸送や開口放出に関与する可能性が示唆された。今後、CAPSマウスの社会性との関連を解析する計画である。研究分担者山末英典は、ヒト臨床研究では自閉スペクトラム症の表現型として、対人場面での表情変化が乏しく無表情の度合いが強いことや発話に抑揚が乏しいことを定量的に示した。そして、これらの表現型がオキシトシン点鼻投与で改善すること、そしてこの改善の程度は自閉スペクトラム症中核症状自体の改善やその際の内側前頭前野の活動の改善と相関することを見出した。研究分担者掛山正心は、研究代表者が開発したマウスM174を用いて行動解析システムの解析を行ったところ、このマウスは社会的競争状態において行動パターンの変化があることが明らかとなった。この行動異常が社会的場面特異的なものなのか、その他のストレスによっても惹起されるもののかについて検証を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者においては発達障害モデルマウスの表現型解析を中心とした精神疾患基盤を明らかにするマウス行動解析プラットフォームを確立することができた。各分担者にはそれぞれ得意とする、分子生物学的解析、社会行動学的解析、ヒト臨床研究、を進めており、それらを総合して研究課題の目標である「発達障害を中心とする精神疾患の生物学的基盤を検証する総合解析システム」の構築を目指したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ、各研究は概ね順調に進んでいる。研究代表者の研究結果にもとづき最終的に目指す総合解析システムと各研究分担者と成果をどのように統合していくかを十分考慮する必要があると考えている。
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