研究課題
本研究班は「発達障害を中心とする精神疾患の生物学的基盤を検証する総合システムの構築」を目指すものである。研究代表者若菜は、ヒト精神疾患判断基準のDSM-5改訂に伴い、様々なモデルマウスの多面的な行動表現から7つの行動試験をリレーショナルに行うバッテリーを構築し、これまで19系統について実験を行い、その結果視覚的に各系統の特徴を示すことができた。古市班員はCAPS2 KOマウスの小脳における遺伝子発現についてマイクロアレイ解析を行った結果、シナプス小胞の開口放出関連遺伝子Stx5aやSyt6の発現上昇、発達障害関連のRett症候群原因遺伝子MeCP2やオキシトシン受容体Oxtrの発現減少が明らかにした。社会行動の欠損などとの関連性について今後の研究が期待される。掛山班員は、理研ENUミュータジェネシスで開発したGrin1突然変異体における社会的競争状態における行動パターンの変化について検証し、新奇環境並びに自由運動下での活動性はむしろ対照動物よりも高いことが確認され、加えて集団生活条件下においても同様な結果が示された。早産出生マウスなど他の発達障害モデルマウスでも同様の表現型を確認していることから、マウス社会的競争環境のテストパラダイムは表現型解析システムとして有効であることが強く示唆した。山末班員はヒト自閉スペクトラム症当事者における社会的コミュニケーションの障害の背景の社会的認知の困難や脳機能不全を同定し、それに対するオキシトシン点鼻投与の改善効果とその関連分子の遺伝子多型との関連を示した。このように発達障害を中心とする精神疾患の生物学的基盤には多くの遺伝子が関与していることが示唆され、マウスにおける多角的な行動解析バッテリーシステムの構築とヒト臨床試験の知見により多くの成果が期待される。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 1件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 11件、 招待講演 4件) 図書 (2件)
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