研究課題
DNAメチル化は、比較的安定な細胞記憶として機能し、分化した細胞の形質維持に必須の役割を果たしている。細胞増殖に伴いDNAメチル化パターンが正確に娘細胞に伝播されないと、未分化性の獲得等の形質変化につながりガン発症や悪性化の原因となる。申請者は、これまでDNAメチル化の伝播にUhrf1依存的なヒストンH3のユビキチン化が重要であることを見いだした。すなわち、DNA維持メチル化を司るDnmt1がヒストンH3ユビキチン化を認識してDNAメチル化部位に集積するものと考えられた。この知見は、ヒストンH3のアセチル化・メチル化修飾が、DNAメチル化制御に大きく関わっていることを示唆している。本年は、Dnmt1によるユビキチン化ヒストンH3の認識を結晶構造科学的に解析し、ヒストンH3のどの部位がDnmt1との結合に関わっているかを同定し、またその部位のアセチル化・メチル化修飾と、発がんとの関連について検討した。その結果、1)Dnmt1のRFTS部位が、ヒストンH3のK18およびK23の2ヶ所の2つのモノユビキチン化を認識してDNA複製部位に集積すること、2)RFTSとH3K18Ub/K23Ubとの結合様式は全く新規のもので、2つのユビキチン分子およびヒストンH3のアミノ末端テールを同時に、かつ異なる様式で認識すること、3)これら3ヶ所の認識により、RFTSとH3K18Ub/K23Ubとの結合は数ナノモル程度の非常に強いものであることが分かった。4)RFTSとH3K18Ub/K23Ubとの結合によりDnmt1分子の構造変化を引き起こし、不活性型Dnmt1が活性化型に変換することが分かった。現在、ヒストンH3分子のK18およびK23のアセチル化・メチル化と発がんについて解析を進めている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 9件、 謝辞記載あり 9件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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