研究課題/領域番号 |
26251006
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
箱嶋 敏雄 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (00164773)
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研究分担者 |
稲垣 直之 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (20223216)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 構造生物学 / 生化学 / 細胞生物学 / 分子生物学 / 生物物理学 / タンパク質 / 相互作用 |
研究実績の概要 |
昨年度より改良してきたshootin1、cortactin、L1-CAM、KIF20Bの組み換えタンパク質の大量調製法を用いて精製試料を調整して相互作用解析の実験に供した。「pull-down」法による電気泳動での相互作用実験では、in vivoでの相互作用実験で示唆された相互作用が、これらのin vitroでの実験ではきわめて弱いか、あるいは相互作用しない結果になったので、更に、BIAcore装置を用いた表面プラズモン共鳴法での相互作用解析を進めて、実験条件の最適化等を通して、電気泳動での相互作用実験では検知が難しかったshootin1とL1-CAMとの相互作用を確認できた。L1-CAM との相互作用に必要なshootin1のN-末端の250残基には、cortactinやL1-CAMへの強い結合を増強する2か所のリン酸化部位(ヒトではSer101とSer249)があることがin vivoでの実験(稲垣グループ)で示されているので、これらをGluに置換して疑似リン酸化型としたshootin1のN-末端の250残基のタンパク質を調製して更に解析を進めて、相互作用に必要なL1-CAMの細胞質内領域部位のドメインのマッピングも進めた。その結果、細胞膜直下に相互作用部位があることが示唆された。更に定量的な解析を進めた(箱嶋グループ)。また、in vivoでの機能・重要性を細胞のみならず個体レベルでの解析するための予備実験を開始した(稲垣グループ)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の対象となっているshootin1やcortactinの組み換えタンパク質の調製は、当初予想していたよりもはるかに困難なものであることが判明した。従って、当初計画に比べた全体としての研究の達成度は遅れている。一方で、shootin1のN-末端ドメインやcortactin の全長やcortactinリピートの調製、表面プラズモン共鳴法での相互作用解析用のタグ付きL1-CAM等の困難なタンパク質試料調製を克服して、一定の試料が得られるようになったことは、今後の解析につながる結果である。また、当初計画では電気泳動による相互作用実験で様々なドメインマッピングや定量的解析の基礎が可能と思われたが、実際には、信頼できる相互作用の検出が難しかったことも遅れの理由である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に調製可能となったcortactin やL1-CAM等と昨年度までの調製したshootin1のN-末端ドメインについて、タンパク質物性や相互作用解析、結晶化を進めていく(箱嶋グループ)。また、shootin1等の輸送に関する解析や、個体での機能や疾病等との関係の解析も引き続き進める(稲垣グループ)。
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