本年度は、研究計画に記した真正細菌 Aquifex aeolicus由来のA付加酵素と3’末端様式あるいはアクセプターヘリックスの長さが異なったtRNA各種(3’末端がC74C75A76のもの、A76、C75A76が欠けたもの、さらにアクセプターヘリックが6bpあるいは8bpで3’末端のA76が欠けたもの)との二者複合体、さらにその二者複合体にCTPあるいはATPを加えた三者複合体などの結晶を作成し、構造解析を行った。最終的に十二種類の結晶構造を決定した。 これらの構造解析から、A付加酵素にはtRNAの結合部位が一か所のみ存在し、L字型三次元構造をとるtRNAのTPsiCループおよびDループの両方がA付加酵素のC末端側に形成されるテールドメインとボディードメイン間のくぼみに結合し、tRNAの三次元構造が酵素によって認識されていることが明らかになった。さらに、このC末端の酵素のくぼみを起点として酵素がtRNAの上部のアクセプターTPsiCへリックスの長さを測り、3’末端のAが欠けたtRNAの3’末端のみが、活性触媒ポッケトに到達できることが明らかになった。これらの一連の構造解析、および構造を基にした生化学解析から、A付加酵素がC74C75をtRNAへ付加することができず、末端のA76のみを付加することができる詳細な分子基盤が明らかになった。
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