研究課題/領域番号 |
26251020
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉森 保 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (60191649)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | オートファジー |
研究実績の概要 |
1)オートファジーによる易凝集性たんぱく質除去の分子機構 神経変性疾患の原因となる易凝集性タンパク質は、細胞外から細胞内に取り込まれることでも細胞毒性を発揮する。そのとき取り込まれたエンドソームを破って細胞質に入り込む可能性が示唆される。エンドソームが破れるとオートファジーがそれを隔離除去することを我々は見出しているので、オートファジーは外来性易凝集性タンパク質の細胞毒性を抑制していることが考えられる。この仮説を検証する実験を行い、ある種の易凝集性タンパク質が培養細胞においてエンドソームに穴を開けるところまでは確認した。しかし、同種の研究が海外で行われていることが判明したため、このプロジェクトは中止することとした。
2)生体におけるオートファジー亢進の影響の検討 オートファジーの亢進によってアルツハイマー病を改善する治療戦略が考えられているが、オートファジーの持続的亢進の強制が生体に何をもたらすかはこれまで知られていない。我々が同定したオートファジーの負の制御因子RubiconのKOマウスを作成したところ、メンデルの法則に従って出生し、通常の飼育状態では健康に生育することが判った。既に作成済みの中枢神経特異的Rubicon KOマウスを用い、シンヌクレインの脳内直接注入を行い、凝集塊形成を調べた。個体差が大きいためまだ結論は得られていない。また線虫の神経変性疾患モデルを用いることを考え、Rubiconホモログが存在するか調べたところ存在を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オートファジーによる易凝集性たんぱく質除去の分子機構の研究進展が芳しくないため従来の方針を変更し、細胞外から取り込まれた易凝集性タンパク質の細胞毒性とオートファジーの関係を調べることとしこれは順調に推移していたが海外でも類似の研究が行われていることが判明し中止を余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、生体におけるオートファジー亢進の影響をマウスと線虫で解析することと、神経変性疾患治療に繋がるオートファジー亢進薬などのスクリーニングに力を注ぐこととし、また元々計画に無くとも本研究課題の実施期間中に達成できそうな新規計画の立案に努力する。
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