研究課題/領域番号 |
26251040
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
斎藤 成也 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 教授 (30192587)
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研究分担者 |
池尾 一穂 国立遺伝学研究所, 生命情報研究センター, 准教授 (20249949)
長田 直樹 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 助教 (70416270)
古賀 章彦 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (80192574)
太田 聡史 独立行政法人理化学研究所, バイオリソースセンター, 研究員 (30391890)
北野 誉 茨城大学, 工学部, 准教授 (90400564)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ゲノム / 進化 / 哺乳類 / 霊長類 |
研究実績の概要 |
斎藤は齧歯類3種(ムササビ、アカネズミ、カピバラ)について、ゲノム解析を進めている。また池尾と共同で、カニクイザルのエクソン領域についての集団ゲノム学的解析を進めている。また京都大学のモンキーセンターに、トクマカクの試料を利用する申請を提出した。承認されれば、この猿のエクソーム配列決定と解析を行う予定である。 池尾は、カニクイザルの全ゲノム配列データ1個体、エクソーム26個体のデータベース化を進め、アカゲザルゲノムをリファレンスゲノム配列としてマッピングとアノテーションを進行中である。 長田は、アフリカミドリザル由来のVero細胞の核型解析と全ゲノム配列決定解析を行い、Vero細胞がアフリカミドリザルのメス個体由来であることを確認した。また斎藤と共同で、インド洋のモーリシャス島に生息するカニクイザル6頭のゲノム配列解析をおこない、きわめて少数の個体から出発したという歴史とあてはまるゲノム多様性が見出されたなどの結果を論文発表した。カニクイザルとアカゲザルにおける薬剤代謝遺伝子CYP2D44の遺伝子多型解析を行った。一塩基多型を多数同定し,そのうちいくつかはin vitro実験により薬剤代謝機能に影響を与えることを示した。 古賀は新世界ザルの数種で、アルファサテライトDNAの塩基配列を正確に解読し、高次構造をもつものがあることを証明した。高次構造はヒト科のみにあるとの見解がこれまでの大勢であり、これに修正を迫ることとなった。太田は霊長類ゲノム解析用計算機を購入し、新しい解析用ソフトウェアの開発に着手した。北野は、HapMap Projectおよび1000 Genomes Projectより得られたヒトのABO式血液型遺伝子のSNPデータを用いて、系統ネットワーク法による組換えの解析を行った。また、チンパンジーのRh式血液型遺伝子のゲノム構造進化に関する解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者と5人の研究分担者がそれぞれ独自の課題に取り組みつつ、共同の課題にもとりくんでいる。
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今後の研究の推進方策 |
斎藤:齧歯類3種(アカネズミ、ムササビ、カピバラ)のゲノム解析によって、齧歯類における非コード領域で進化的に保存されている領域の解析を進める。一方、アカゲザル、カニクイザル、トクマカクなどのマカク属猿のエクソーム解析を進める。ニホンザルのBAC配列解析手法の改善を検討する。 池尾:アカゲザルゲノムが更新されたこともあり、アノテーションの更新を行うとともに、全データを用いた統計解析を今後進めていく。 長田:27年4月から北海道大学工学部に移ったので、研究室のセットアップにすこし時間がかかると思われるが、霊長類ゲノムの集団ゲノム学的解析を進めてゆく。 古賀:さらに広範囲の霊長類について、高次構造の有無を調べる。次の対象は旧世界ザルを予定している。また高次構造の機能や形成機構に関する解析をすすめる。 太田:霊長類を含む複数の種の過去のGC含量の推定、SNPデータ及びゲノム配列を用いたGC含量を変化させる突然変異圧の検出、ヒトの2足歩行に関わる筋肉と相同な筋肉に発現する遺伝子の分子進化などの研究を進める。 北野:霊長類のゲノムデータから、一定数の多型サイトを含む領域を解析ターゲットとして抽出する。系統ネットワーク法等を用いて、解析ターゲットの ハプロタイプデータにおける組換えの解析を行う。次世代シークエンサーで得られた塩基配列データにおいて、堅実なハプロタイプが得られていな い部分については、必要に応じてリシークエンスする。そして、組換えがゲノム進化に対して、どのように寄与しているかを解析する。
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