地球表層の約7割を占める海洋堆積物環境に生息する膨大な微生物群の地理的空間分布を明らかにするため、過去10年間の科学海洋掘削により採取された凍結コアサンプルを用いて環境ゲノムDNAを抽出し、16S rRNA遺伝子の定量と塩基配列の網羅的な解読を実施した。その結果、地球全体の海洋堆積物に生息するアーキア(古細菌)の割合は約37%であり、海水中に生息する微生物群のアーキアの割合とほぼ一致することが明らかとなった。さらに、微生物群集構造や系統分類の解析結果から、海底下生命圏は外洋の好気的微生物生態系と沿岸部の嫌気的微生物生態系の二つに大別可能であり、深部にまで鉛直的に存続していることが示唆された。
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