(1)交尾器形態種間差に関与するQTLの探索とゲノム上の原因遺伝子探索:イワワキオサムシ,マヤサンオサムシの種間交雑で得られたF2個体を用いた連鎖地図作成と交尾器形態QTLの解析を行い,ドウキョウオサムシの全ゲノム配列を参照して,交尾器の種間差の原因遺伝子,原因配列変異の探索を行った.その結果について,論文作成を進めた. (2)交尾器発生過程の遺伝子発現パターンの種間比較:近縁だが交尾器形態が大きく異なるイワワキオサムシ,マヤサンオサムシ,ドウキョウオサムシの終令幼虫期(前蛹期を含む)・蛹期の遺伝子発現パターンを種間・性間・ステージ間で比較した.遺伝子発現解析を行った結果,とくにドウキョウオサムシと他2種の間で多くの発現変動遺伝子が発見された.さらに,昆虫の器官のサイズに影響を及ぼすIGF経路,Hippo経路に含まれる遺伝子について詳細な種間比較を行った. (3)ヒメオサムシの体サイズ変異の遺伝的基盤:体サイズの異なる2集団の交配から得たF2個体を用い, RADシーケンスにより連鎖地図作成と体サイズQTLの解析を行った結果を論文として発表した.さらに QTL領域の配列変異を詳しく解析するために,九州北部5集団(大型3集団、小型2集団)から各4個体、合計20個体をサンプルし,Illumina HiSeqXで150PEのシーケンスを行った.このデータをGenome wide association mappingによって解析し,体サイズ変異の原因変異を探索している.またゲノム配列比較の精度をあげるために,よりscaffoldの長い参照ゲノム配列が必要であるため,Nanopore MinIONによるシーケンスを行い,アセンブルを行った.
|