研究課題
1.高群落温度が高CO2に対する収量応答に及ぼす影響FACE(開放系大気CO2増加)試験区内においてT-FACE(群落温度制御)装置を用い,温度と高CO2の相互作用がイネに及ぼす影響を調査した.高CO2処理により気孔開度が低下するため,T-FACEによる群落温度の上昇は対照区では0.63℃出あったのに対し,FACE区では0.94℃であった.高CO2は,無加温区においては初期発育停止籾を減少させることで登熟歩合を増加させた結果、収量は23.7%増加した.一方,加温区では高CO2による増収効果が消失したが,これには不受精の増加が大きく作用しており,不受精率は,加温処理によって有意に増加し,高CO2と加温の同時処理でさらに増加した.不受精率と温度との関係を解析したところ,CO2条件に関わらず,出穂始めから1 週間の積算温度との間で強い正の相関が得られた.そして,不受精率(y)は,29℃を基底温度とした積算温度(℃day)をxとした場合,y=0.62x^2-4.33x+13.991(R^2=0.7434)で表せることが分かった.2.イネコアコレクションにおける高CO2応答の遺伝的変異世界イネコアコレクション69品種のうち,最終の収穫日までに出穂した61種において,高CO2による地上部乾物重の増加率には大きな年次変動がみられた.3ヵ年平均では最小-6%から、最大39%までの幅がみられ,全品種の平均増加率は12.3%であった.高CO2の効果が統計的に有意であった品種の中では,「DIANYU 1」(中国)の29.4%が最大であった。そして,高CO2によるイネの地上部乾物重の増加率は分げつの増加率と高い正の相関がみられたことから,高CO2応答性の主要因は分げつの応答であると推察された.Indica種とJaponica種の間では,CO2応答性には有意な差は見られなかった.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
巻: 7 ページ: -
10.1038/s41598-017-01690-8
Microbes and Environments
巻: 31 ページ: 349-356
10.1264/jsme2.ME16066
http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/outline/face/