ハナビシソウのゲノム遺伝子(1.1Gb)を次世代シークエンサー解析し、総塩基数約0.47Gb、約0.8 MbのN50をもつ15668個のscaffold配列を得た。ゲノム全長のカバー率はまだ十分とはいえないが、得られた配列を解析し、これまでに、報告されているRNA sequence配列を50%以上カバー率で95%以上含有していること、これまでに単離同定されているIQA生合成酵素遺伝子、ならびに転写調節遺伝子のすべてについて、十分なゲノム配列領域を含んでいることを明らかにした。また、ケシにおいて同定されたnoscapine生合成クラスタ-は存在しなかったが、同生合成酵素のホモログの存在を確認した。現在、ゲノム上に検出されたが、発現が確認されず、機能も不明である生合成遺伝子のホモログ遺伝子の機能、ならびに、その発現制御について解析を進めている。 同時に、これまでに単離同定されたイソキノリンアルカロイド生合成遺伝子を用いた生合成系の再構築を行い、微生物生産系においてレチクリンからdihydrosanguinarineの生合成系の部分的再構築に成功した。また、多様なイソキノリンアルカロイドの生理活性を評価するための線虫アッセイ系を改良し、NHR8の発現抑制による感受性増大を明らかにするとともに、論文公開した。 今後、より多様なIQA産生薬用植物のゲノム構造とその遺伝子機能を解明し、IQA生合成系の多様化を分子レベルで解明するとともに、IQAの生理活性評価を行うことを計画している。
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