研究課題/領域番号 |
26252020
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木庭 啓介 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (90311745)
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研究分担者 |
戸田 浩人 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00237091)
大手 信人 京都大学, 情報学研究科, 教授 (10233199)
五味 高志 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30378921)
勝山 正則 京都大学, 学際融合教育研究推進センター, 准教授 (40425426)
徳地 直子 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授 (60237071)
柴田 英昭 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70281798)
楊 宗興 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50260526)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 窒素循環 / 硝化 / 脱窒 / 窒素飽和 |
研究実績の概要 |
昨年度は森林から発生してくる窒素ガスの1つである一酸化窒素の同位体比測定の測定法確立に主眼をおいた。ブランクの問題などが大きかったが,ある程度の放出速度があれば十分な精度で窒素同位体比が測定できるプロトコルが確立できた。現在この内容について,アメリカの共同研究者も交えた議論を重ねており,最終年度までの論文化を予定している。ただ,残念ながら北大雨龍試験地での一酸化窒素の放出を測定したところ予想通りほとんどなく,その同位体比測定は不可能であった。土壌中の微量硝酸態窒素の測定を行うためにイオン交換膜の利用の検討を行い,抽出法などの最適プロトコルを開発した。この結果については2016年4月の国際学会にて発表を行った。FM多摩丘陵,FM大谷山,FM唐沢山については論文化に向けたデータの再確認を行っている。一部,低濃度のものおよび低pHなものについては再測定の必要がある。これらについては2016年5月に米国の共同研究者が来日する際にディスカッションを重ね,可及的速やかに論文化を進める予定である。また,これまでのデータを基礎として,陸上生態系内の窒素化合物がどのような安定同位体比をとるのか,それによってどのような解析が可能かと言うことについて,包括的な総説をアメリカとスウェーデンの研究者と発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究での大きな目標であった硝酸態窒素の同位体比を用いた新たな脱窒測定法はすでに確立し発表も終えているので,この点は進展が十二分に認められる。さらに,一酸化窒素の窒素同位体比測定についても方法論の論文化に着手しており,これも予想よりは進展している。一方で,各集水域についてのデータの検討および論文化にはまだ十分着手できておらず,最終年度にむけて論文化の戦略を十二分に練ってゆきたい。これらを総合的に評価すると,前回は1と評価したが,今回は各集水域についての仕事の進捗を考慮して2と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は現在の解析に足りないイベントでの渓流水水質の変動パターン解析や,そもそもの測定精度の再確認,米国との比較など,まとめに向けた活動を行い,共同研究者と蜜に連絡を取りながら論文化をすすめることで,より大きな成果に持ってゆきたい。 なお,2016年2月に代表者が東京農工大学から京都大学に異動し,測定機器に一部トラブルが認められているが,そのトラブル復旧については5月を目処に考えている。 論文化としては,FM唐沢山の論文はGRLへ,FM多摩丘陵と京大上賀茂演習林の比較はEcosystemsへの投稿を予定している。FM大谷山については現在検討中である。また,本研究の内容については教科書の1章として取り上げて執筆予定であり,さらに6月の国際シンポジウム・トレーニングコース(ILTER-N training course)において,本研究の成果を諸外国から参加する学生・研究者にレクチャーする予定である。
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