研究課題/領域番号 |
26252024
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
服部 順昭 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 名誉教授 (90115915)
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研究分担者 |
安藤 恵介 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (70262227)
上川 大輔 国立研究開発法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 主任研究員 (30409651)
吉田 誠 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30447510)
近江 正陽 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70233020)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ドリルインサイジング / レーザインサイジング / スギ / 集成材 / 2時間耐火 |
研究実績の概要 |
我々が開発したスギ集成材をレーザ又はドリルでインサイジングしたラミナに難燃薬剤をむら無く加圧注入した燃え止まり部で被覆した耐火集成材は、耐火1時間の大臣認定は取得済みで、音ノ葉カフェ、長崎県庁の行政棟、平成30年11月に完成予定の多摩産材を用いた神田明神の交流会館などに使われてきているが、さらに大きな建物には耐火2時間が不可欠で、毎年設計に改良を加えて試作したスギ集成材を2時間加熱試験で性能評価を行ってきた。平成28年度の2時間加熱試験では、荷重支持部の集成材の表面の一部が僅かに変色・炭化するという耐火性能まで確立できたが、大臣認定試験の評価としては不合格となった。原因は、失火時に燃え止まり部のみ交換可能な耐火2時間仕様では厚さ30mmのラミナを3枚接着した燃え止まり部をネジ止めする構造を設計変更してネジ止め層を増やしたことにより、当該層間に火が入ったためと推察された。 2時間耐火からさらに発展させて3時間耐火を達成しなければ、建設会社がプレス発表した高さ350mの超高層木造建築物のような建物を都会に建設することは出来ない。3時間の耐火集成材の大臣認定例はあるが、石膏ボードを大量に使うことで、純木造とは言えず、環境負荷も高いので、木造で建てる意味や価値がそれほど大きくない。最終年度に耐火2時間のスギ集成材を完成する予定であったが、多くの知見を得られたものの、開発は失敗に終わった。次の機会があれば、達成できる状況にはある。 なお、平成28年度の繰越研究費については、次年度に当該年度の研究成果発表の旅費などに支出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
耐火集成材の加熱試験後の評価は、外観で激しく燃えたと見込まれる部位を鋸断し、荷重支持部の変色や炭化の程度で行われる。 本研究で開発している2時間耐火集成材は、荷重支持部の周囲4面に燃え止まり部をネジ止めする構造であるため、加熱試験後に燃え止まり部のネジを外すことで、荷重支持部の4面全ての変色や炭化がチェックできる。 その結果、1面の上部のほんの一部に炭化が認められたものの、その他の部位には一切変色が認められず、概ね2時間耐火性能があると判断されたため。
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今後の研究の推進方策 |
ほんの一部に炭化が認められたことと、荷重支持部の表面温度は試験開始後8時間経過時に268℃と判断基準の260℃を8℃超えたことから、2時間耐火性能は得られなかった。 2時間耐火性能を燃え易いスギだけで構成される集成材で実現するため、燃え止まり部の再設計を行い、2時間耐火性能の確保を目指し、最終的には3時間耐火の集成材やCLTという純耐火木質構造部材の開発まで進める。
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