研究課題
政府が閣議決定した森林・林業再生プランにおける国産材自給率50%という目標設定、それを達成するための一政策として施工された通称木促法による公共建築物等の木造化の状況下で、国産材を非戸建て建築物に積極利用して行かなければならない状況にある。それには2時間耐火集成材の国土交通大臣認定を得なければならない。我々が開発したスギ集成材をレーザ又はドリルでインサイジングしたラミナに難燃薬剤をむら無く加圧注入した燃え止まり部で被覆した耐火集成材は、耐火1時間の大臣認定は取得済みで、音ノ葉カフェ、長崎県庁の行政棟、神田明神の交流会館などに使われてきているが、さらに大きな建物には耐火2時間が不可欠で、毎年設計に改良を加えて試作したスギ集成材を2時間加熱試験で性能評価を行ってきた。初年度と2年目の試験では、荷重支持部の集成材の表面の一部が僅かに変色するという耐火性能まで確立できたが、最終年度の加熱試験では荷重支持部に火が燃え込んで、不合格となった。原因は、失火時に燃え止まり部のみ交換可能な耐火2時間仕様では厚さ30mmのラミナを3枚接着した燃え止まり部をネジ止めする構造を設計変更してネジ止め層を増やしたことにより、当該層間に火が入ったためと推察された。2時間耐火からさらに発展させて3時間耐火を達成しなければ、建設会社がプレス発表した350mの超高層木造建築物のような建物を都下に建設することは出来ない。3時間の耐火集成材の大臣認定例はあるが、石膏ボードを大量に使うことで、純木造とは言えず、環境負荷も高いので、木造で建てる意義が大きくない。最終年度に耐火2時間のスギ集成材を完成する予定であったが、多くの知見を得られたものの、開発は失敗に終わった。次の機会があれば、達成できる状況にはある。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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