セルロース系多糖をコア成分とした高機能異方性材料の創製を目的に、各種複合系に応じた分子アセンブリー制御を行い、以下の成果を得た。 1.外力印加型分子アセンブリー制御 (1)置換基分布の異なるセルロースプロピオネート(CP)とケン化度の異なるポリビニルアルコール(PVA)を数種ずつ調製し、CP/PVAブレンド系の相溶マップを作成した。該ブレンドの相溶化には、CP・PVA両成分が水酸基を豊富に含むこととプロピオニル基が適度に6位に偏在したCPを用いることの二点が必要であることが判った。光学フィルム設計の重要な指針となる。 (2)磁性酸化鉄をナノ充填したカラギーナン(CAR)/ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)IPNゲルの粘弾性と耐熱水性を評価し、カテーテル材料として好適であることを示した。 (3)CAR/PVA磁性ゲルから延伸配向によって異方性磁場応答材料を作製し、アクチュエータ機能を実証した。 2.自発配向型分子アセンブリー制御 (1)セルロースナノクリスタルの液晶構造を固定化したポリマーフィルムを作製しCaCO3のミネラリゼーションを行った。耐熱性に優れる異方性ハイブリッド材料の創製を実証した。 (2)各種カルバモイル基を側鎖導入したエチルセルロース誘導体のリオトロピック液晶について、コレステリック周期・センスに及ぼす置換度・溶媒種・温度の効果を明らかにした。 (3)イミダゾリウム塩構造を側鎖に有するアシル化ヒドロキシプロピルセルロースを合成し、コレステリック呈色を示すサーモトロピック液晶の調製に成功した。 3.置換度制御セルロース誘導体の調製に関連して、イオン液体溶媒中で各種セルロースエーテルの迅速合成を検討した。また、無機との複合化に関連して、アルギン酸ベースのIPNゲルにおけるCaCO3のミネラリゼーションと結晶多系の系統評価を行った。
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