研究課題
本研究では、ペルー海洋研究所と所属機関が取り交わした共同研究覚書による強固な共同研究体制の下、それぞれの研究機関で長期に渡って実施されてきた産卵調査や資源評価のデータを完全に統一した手法で解析することで、黒潮海流域とフンボルト海流域におけるカタクチイワシとマイワシの生物特性を明らかにし、魚種間・海流域間の比較・統合を行う。これには、(I) 産卵生態 (産卵場特性・繁殖戦略・密度依存)、(II) 初期生態 (初期生活史における成長・摂餌)、(III) 資源生態 (漁業特性・資源生物特性) を総合的に加味する。また、(IV) 生物特性に対する海洋環境 (物理要因・生物要因) の変動を調べて仮説検証を行う。さらに、将来的に魚種交替予測モデルへ展開することを念頭に、(V) 数理モデル (輸送・回遊モデル) を構築して仮説検証に利用する。平成26年度は、平成27年度への繰越内容も含めて、以下の進捗を得た。(I) 産卵生態 産卵調査の長期蓄積データセットを更新・整備した。一般化加法モデルによって産卵と物理要因・生物要因の関係を求めるための試行解析を行い、海流域間比較に最適な設定を決定した。(II) 初期生態 フンボルト海流域の仔魚の成長速度を調べるために必要な標本の収集と耳石解析システムの導入準備を行なった。(III) 資源生態 両海流域間の漁業情報、資源評価データ等を整理し、資源変動や資源生態を比較する統合表の準備を進めた。(IV) 海洋環境 両海流域間における海洋環境 (水温・塩分・クロロフィル) の長期時系列データを観測データ・衛星データから準備した。餌環境として、産卵調査で得られた動物プランクトンデータを整備した。(V) 数理モデル 輸送・回遊モデルに必要な物理場 (海流・水温) について、海洋流動モデルによる再解析値としての準備を進めた。
2: おおむね順調に進展している
産卵生態、初期生態、資源生態、海洋環境、数理モデルの各トピックについて、日本側の代表者・分担者とペルー側の研究協力者が連携し、主にワークショップを介してデータ整備・施行解析を進めた。平成26年度に焦点を当てる予定であった「産卵生態」及び「資源生態」のため、トピック間の連携も機能した。なお、平成26年12月にペルー海洋研究所にて実施予定であったワークショップが共同機関の事情等により延期を余儀なくされたため、該当予算の繰越を行い、平成27年6月に同ワークショップを実施した。繰越事由発生時点からワークショップ開催まで、一旦は進捗が遅延したが、ワークショップにより、遅延を取り戻し、その後の研究進展に影響は出なかった。
本研究では、ペルー海洋研究所との連携、異なる専門分野間 (トピック間) での連携が、研究進捗を大きく左右する鍵となる。進捗状況により適切なタイミングで、担当者・協力者が一堂に会して作業を行なう実践的なワークショップを行なうことが重要である。このため、可能な限り、国内分担者とは打合せの場、ペルー海洋研究所の研究協力者とは招聘あるいは訪問によるワークショップの場を設けるようにスケジュール管理を行なう。
Research introduction website: 研究紹介 (Akinori Takasuka / 高須賀明典)GSP symposium 2015: 2015年11月に横浜で開催したシンポジウム・ワークショップの公式ページ
すべて 2015 2014 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件) 備考 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
http://cse.fra.affrc.go.jp/takasuka/gsp/
http://cse.fra.affrc.go.jp/takasuka/