研究課題
本研究では、ペルー海洋研究所と所属機関が取り交わした共同研究覚書による強固な共同研究体制の下、それぞれの研究機関で長期に渡って実施されてきた産卵調査や資源評価のデータを完全に統一した手法で解析することで、黒潮海流域とフンボルト海流域におけるカタクチイワシとマイワシの生物特性を明らかにし、魚種間・海流域間の比較・統合を行う。これには、(I) 産卵生態 (産卵場特性・繁殖戦略・密度依存)、(II) 初期生態 (初期生活史における成長・摂餌)、(III) 資源生態 (漁業特性・資源生物特性) を総合的に加味する。また、(IV) 生物特性に対する海洋環境 (物理要因・生物要因) の変動を調べて仮説検証を行う。さらに、将来的に魚種交替予測モデルへ展開することを念頭に、(V) 数理モデル (輸送・回遊モデル) を構築して仮説検証に利用する。平成30年度は以下の成果を得た。I. 産卵量の長期変動と環境変動及び資源変動の関係について、海流域間での比較結果を纏めた。II. フンボルト海流域のカタクチイワシの成長速度と環境の関係を調べた。III. 魚種交替と海洋環境変動・漁業の関係について、海流域間での比較結果を纏めた。IV. 海洋環境・動物プランクトンの長期変動・季節変動について、海流域間での比較結果を纏めた。V. 黒潮海流域の輸送・回遊モデルをフンボルト海流域に移植した。以上を総合して、魚種交替の生物学的メカニズムに関する仮説を検証した。特に、海流域間で、環境要因に対する反応の魚種間関係が逆転しているため、表面水温の関係が逆であるにもかかわらず魚種交替が同期する、と考えられた。同時に、成果を南東ブラジル湾に拡張する後続研究を立案・準備した。本研究過程では、黒潮海流域において、資源管理の根本的仮定である産卵親魚量と卵生産量の比例関係の歪みの要因として、卵生産における密度効果の存在も発見した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 2件、 査読あり 11件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 10件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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