研究課題
肉用牛生産においては,正確なデータに基づく個別管理により,各牛へ最適な給餌を行うことが重要であり,なかでも脂肪交雑度が高い牛肉を生産するためには,ビタミンA濃度の制御が最も重要である。本研究では瞳孔画像からビタミンA濃度を推定するための瞳孔撮影装置を試作し,牛房の飲水場で飲水中の牛の瞳孔画像を収集した。試作した瞳孔撮影装置は,偏光フィルタを用いたカメラと用いないカメラから構成され,これらのカメラで右目と左目の瞳孔画像を撮影するものである。実験は兵庫県立北部農業技術センターと京都大学附属牧場で,平成26年末前後から9牛房の黒毛和牛52頭を対象に行い,肥育期間の20ヶ月にわたり瞳孔画像の収集を行ってきた。28年度も継続して瞳孔画像の収集を行った。牛の個別管理を行うため,牛に首輪を付けて飲水場上方に設置した首輪撮影カメラによって首輪の画像を撮影した。最初は首輪に色布を巻き付けて撮影して色によって個体認識を行っていた。しかし長期にわたる使用で変色が生じたため,白地に黒糸で模様を刺繍した首輪に変更し,個体識別率が向上した。得られた瞳孔画像を処理して血液検査で求めたビタミンA濃度と比較した結果,瞳孔色の赤色成分,瞳孔表面での光反射,LED点灯時の瞳孔収縮状態とビタミンA濃度と相関が見られた。兵庫県立北部農業技術センターで5頭の種雄牛から生産された40頭について平成28年9月から12月にかけて出荷されたあと,濃厚飼料給餌量,粗飼料給餌量,ビタミンA濃度と枝重,格付,脂肪交雑度など収量,品質データの関係を調べた。同じ種雄牛では,ビタミンA濃度コントロール時期にビタミンA濃度が低かった牛は脂肪交雑度が高い傾向が認められた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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