研究課題
① 平成29年度は、109件4,991頭の牛白血病ウイルス感染(BLV)診断を行い陽性頭数は1,462頭、陽性率は30.3%だった。診断結果は今年度も新規導入牛の決定、着地検査、感染牛の分離飼育、優先淘汰および感染牛産子の早期感染診断などに活用した。② BLVの感染経路は水平感染ならびに垂直感染である。このうち垂直感染には、ウイルス感染牛の母体内で子牛への感染が成立する子宮内感染、娩出過程で感染する産道感染、出生後、乳汁を介して感染する乳汁(経乳)感染があるが、直接的な子宮内感染を証明した報告はなかった。そこで、平成29年度はウイルス保有量が多い妊娠牛より帝王切開術によって子牛を取り出し、牛白血病ウイルス感染の有無を検証した。持続性リンパ球増多症を呈する妊娠牛および牛白血病を発症した妊娠牛の2頭から帝王切開術により子牛を摘出し、臍帯血、胎盤血、羊水及び子牛の血液からDNAを抽出しNested PCR法によって牛白血病ウイルスの検出を行った。その結果、臍帯血、胎盤血、子牛血液より牛白血病ウイルスが検出された。ウイルス量は母牛、胎盤血、臍帯血、子牛の順で高く、子牛のリンパ節及び脾臓からも牛白血病ウイルスが検出され、母牛及び子牛から検出された牛白血病ウイルスのenv遺伝子の塩基配列が一致したことから、初めて牛白血病ウイルスの子宮内感染が直接的に確認された。このことから子宮内感染は、重要な感染伝播経路の一つであり、母牛のウイルス量は、新生子牛への伝播リスクに反映すると確認された。本成果は、リンパ球増多症や高いウイルス量を呈する母牛からの産子の感染検査は、清浄化対策において極めて重要となり、陽性牛から陽性牛が生まれると農場での清浄化は極めて難しく、子牛への感染防御は重要であることを示した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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