研究課題
本研究で、申請者が最近発見した新規リン脂質の生理的役割を解明する。申請者は最近、①イノシトールリン脂質群(PIPs)の高感度定量技術を独自に開発・活用し、PIPsとして約20年ぶりの発見となる新規PIPsを見出した。また、②生成酵素は同定されながらも、実際に細胞内で検出されたことがなかったホスファチジルグリセロールリン酸(PGP)を蓄積する変異マウスの作出に成功した。これらの研究成果を展開するかたちで、新規PIPsとPGPの代謝酵素ならびに標的タンパク質の同定、生理機能を解明する独創的な学術研究を本基盤研究で一気に推進し、新しい研究分野の開拓と医薬開発の礎となる知見を、世界に先駆けて得る。①この新規リン脂質の生合成経路を解明するために、既知のイノシトールリン脂質との量的関係、また、脂肪酸構成で表される質的関係を解明した。②PGP結合タンパク質の同定を試み、現在解析中である。
2: おおむね順調に進展している
新規リン脂質の代謝経路についての知見が得られている。一方、標的タンパク質については、特異性の検証に時間がかかっている。
まずは、新規リン脂質についての論文を完成させ、公表することを優先する。このために必要な化学合成品の調達を進める一方で、昨年度導入したイオンモビリティー法による、新しい解析法を用いて、新規脂質の構造情報を明確に示す。PGPの機能については、分解酵素の遺伝子欠損マウス、ショウジョウバエで興味深い知見が得られているので、こちらについても早い時期で論文による公表を目指す。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)
Cancer Discovery
巻: in press ページ: in press
10.1158/2159-8290.CD-14-1329
10.1158/2159-8290.CD-14-1347
Oncotarget
Cell Rep.
巻: 8 ページ: 610-621
10.1016/j.celrep.2014.06.009