研究課題
histamine N-methyltransferase(HNMT)欠損マウスの機能解析について脳内のヒスタミンはヒスタミン分解酵素であるHNMTによって、1-methyhistamineとなり不活化されることが明ら かとなっている。平成二六年度にはHNMT 欠損マウスと野生型マウスを用いて、脳内のヒスタミン濃度調節におけるHNMTの重要性についてマイクロダイア リシス法を用いて検討した。その結果、HNMTの欠損により脳内遊離ヒスタミン濃度が4倍程度まで上昇していることが明らかとなり、ヒスタミンクリアランスにおいて極めて重要な役割を担っていることが明らかとなった。またHNMT欠損マウスでは野生型マウスと比較し、活動期における自発行動量が減少していることが明らかとなった。ヒスタミンは睡眠の制御因子として極めて重要であることがわかっており、自発行動量の減少が睡眠覚醒サイクルの異常と関わっている可能性が考えられた。更にHNMT欠損マウスでは攻撃性が高いことも明らかとなった。以上のことからHNMTがヒスタミンの濃度調節において極めて重要な役割を果たしており、また脳内の恒常性維持にも大切であることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
HNMT欠損マウスについての解析が順調に進んでいる。またヒスタミンを輸送できるplasma membrane monoamine transporter欠損マウスの作製においても現在ヘテロマウスを得るところまで来ている。またヒスタミンとミクログリアとの関連研究に関しても、新たに論文にて報告することができた。
histamine N-methyltransferase (HNMT)欠損マウスで認められた自発行動量の低下に関して、睡眠障害が原因である可能性が考えられたため、HNMT欠損マウスと野生型マウスで脳波測定を行い、睡眠障害が生じているかどうかを検討する。またこのKOマウスで認められた攻撃性についても血中のテストステロン濃度や扁桃体におけるヒスタミン系の役割などについて検討を行い、原因を明らかにしていきたい。plasma membrane monoamine transporte (PMAT)欠損マウスについては、本年度中には解析を開始したいと考えているが、まずは十分な匹数のKOマウスを得ることを最優先に行っていく。ミクログリアとヒスタミンとの関連についても、アルツハイマー病モデルマウスなどを用いて、生体におけるヒスタミンの役割を明らかにしていきたいと考えている。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 14件、 オープンアクセス 12件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 1件)
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