研究課題
1;histamine N-methyltransferase(HNMT)欠損マウスの機能解析脳内のヒスタミンはヒスタミン分解こそであるHNMTによって不活化されることがわかっているが、その生理的役割については不明のままであった。我々はHNMTが脳内ヒスタミン濃度制御において、極めて重要な役割を果たしていることを明らかにした。またHNMTが欠損すると、ヒスタミンが異常高値となり、ヒスタミンH1受容体の活性化によって睡眠覚醒サイクルに変化が生じること、ヒスタミンH2受容体の活性化によって攻撃性に変化が生じることが明らかとなった。2:ヒスタミンによる抗アミロイド作用の検討アルツハイマー病の原因分子の一つであるアミロイドの蓄積とヒスタミンとの関連について検討するために、アルツハイマー病モデルマウスを新たに購入し、脳内ヒスタミン系との関連について解析を進めている。3:ヒスタミントランスポーターの機能解析ヒスタミンを輸送することができるトランスポーターに対して、阻害剤のスクリーニング系を構築することができた。スクリーニングを開始したところ、既に有力な候補化合物を数種類見出すことができた。今後これらの候補化合物が実際に脳内ヒスタミン濃度調節能を有するかどうかについて、in vitroおよびin vivo両面から検討を行っていく予定である。またヒスタミン輸送能を有するトランスポーターのノックアウトマウスについても解析を継続して行っていく。
2: おおむね順調に進展している
ヒスタミン代謝酵素欠損マウスについては、解析の大半を終え、ヒスタミン分解系の重要性および生理的意義を新たに示す事ができた。トランスポーターのノックアウトマウスについても作製を完了しており、概ね順調に進展していると考えられる。
ヒスタミン代謝酵素については、全身欠損マウスの解析をほぼ終えることができたので、今後はコンディショナルノックアウトマウスを作製し解析を行っていく。HNMTは神経細胞およびアストロサイトの両者に発現していることが報告されていることから、どちらの細胞群がヒスタミン代謝に貢献しているのかについて検討を行っていく。またヒスタミントランスポーターのノックアウトマウスの解析も行っていく。ヒスタミン代謝酵素およびヒスタミントランスポーターの阻害剤スクリーニングについても既に着手しており、今後も継続して行っていく。
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