研究課題
福島第一原発周辺地域において頭数調整のために捕殺された野生ニホンザル(被ばく群、平成29年度31頭、30年度18頭)及び影響を受けていないニホンザル(非被ばく群、29年度0頭、30年度6頭)の採材を継続した。以前に採材した計95頭の血液系について、長期間の低線量率放射線被ばく影響を解析した。被ばく群と非被ばく群の抹消血球では、赤血球数とヘマトクリット値の平均値に有意差があったが、捕獲地の標高にも有意差がみられたことから、生息環境の違いによる影響を考慮する必要があることがわかった。骨格筋中の放射性セシウム濃度から内部被ばく線量率を、捕獲地点の土壌中放射性セシウム濃度から外部被ばく線量率を計算した。被ばく群の線量率の中央値は、内部被ばくが7.6μGy/日、外部被ばくが13.9μGy/日であった。末梢血について重回帰分析を行った結果、成獣において白血球と血小板数が内部被ばく線量率と負の相関を示した。骨髄でも同様に、成獣の骨髄系細胞、巨核球が内部被ばく線量率と負の相関を示した。また、骨髄中の脂肪割合は内部被ばく線量率と正の相関を示した。これらの結果は、内部被ばく線量率の高いサルにおいて、造血能が低下していることを示唆している。一方現在まで、被ばく群に肉眼的に異常は認めていない。長期間の低線量率放射線被ばくに対する馴化や適応も考えられるため、本研究においてみられた抹消血液・骨髄成分が将来的にどのように変化するのかしないのか、長期低線量率の内部被ばくの影響を知るために、長い期間経過観察を続ける必要がある。総まとめとしてSpringer Nature社からLow-Dose Radiation Effects on Animals and Ecosystemsを上梓することとなった。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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