研究課題
肝臓は代謝や各種生体分子の合成機能の中心臓器であるとともに、腸管から外来物質や腸内細菌の菌体成分が流入する自然免疫系の前線基地でもある。代謝異常やウイルス感染、薬物等に起因する種々の肝障害により、炎症反応の惹起を伴って肝幹/前駆細胞の活性化を介した再生応答が誘導されるが、これが長期化・増悪化すると肝線維化、肝硬変、肝癌へとつながる。本研究では、肝臓を構成する細胞間の相互作用という視点から、種々の病因による肝障害発症と再生の機構、および肝炎から肝線維化を経て発癌へと進行するメカニズムの解明を目指す。肝硬変や肝癌の診断、予防、治療法を確立する上での基盤となる重要な知見をもたらすことが期待される。肝障害時における肝前駆細胞(LPC)の活性化を伴う胆管増生は胆管の増殖を伴うremodelingであることを細胞系譜解析と肝臓の3次元構造の可視化法により示してきたので、本年度は、胆管内の増殖性細胞の解析とともに胆管増生の生理的意義の解明を中心に行った。その結果、増殖性の胆管細胞は胆管の末端部に局在すること、増殖を始めた細胞の運命はstochasticに決まることを見いだした。さらに、胆汁の流れを可視化する方法の開発に成功し、肝障害による胆汁の流れを捉えることに成功した。また、肝臓でのOncostatin Mの過剰発現による新規肝線維化モデルにおいて、Oncostatin Mは星細胞へ直接してTimp1の発現に作用するのみならずマクロファージを介して線維化誘導因子の発現を亢進して線維化を誘導する様子が明らかになった。さらに、慢性炎症に伴う線維化において、好中球が線維化の溶解に寄与するという結果を得た。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件)
PLOS One
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