研究課題
研究の目的:未だマラリアワクチンは実用化から遠く、唯一の第3相臨床試験中のワクチン候補もその効果は十分でない。そこで、新規マラリアワクチン候補抗原の探索が吃緊の課題となっている。申請者は、既にゲノムワイドなマラリアワクチン候補抗原の探索を行う技術的基盤を確立した。本研究では、新規熱帯熱マラリア赤血球期ワクチン候補抗原の機能解析、および機能に立脚して防御効果を増強できる抗原の組合せを同定することにより、新世代マラリアコンビネーションワクチン開発の基盤を確立することを目的とする。研究実績の概要:平成27年度までの研究により、赤血球期ワクチン候補抗原の探索における重要な条件として、抗原多型の有無を解析しておくことが必須と考えられた。そこで、これまでの申請者らの研究から、新規熱帯熱マラリア赤血球期ワクチン候補タンパク質として有望と考えている抗原、Ripr, RALP1, GAMA, MSPDBL1の4種類選択し、ウガンダの約60人から得られた熱帯熱マラリア原虫流行地分離株を用いて、抗原多型を解析した。その結果、RiprとRALP1が多型の少ないワクチン候補抗原であることが判明した。つぎに、抗原多型がワクチン効果に及ぼす影響を検討するため、熱帯熱マラリア原虫3D7株由来の組換えタンパク質で作製した抗体を、多型の大きいFVO株に対して殖阻害活性を測定した。RiprおよびRALP1に対する抗体は、遺伝子多型の存在するFVO株に対しても増殖阻害活性を示した。さらにRiprに対する抗体はRALP1よりも強い増殖阻害活性を示した。一方、比較的遺伝子多型の多いGAMAおよびMSPDBL1に対する抗体は、FVO株に対して増殖阻害活性を認めなかった。したがって、Riprは多型の少ない新規マラリア赤血球期ワクチン候補抗原であることを世界に先駆けて明らかとした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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