研究課題/領域番号 |
26253041
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
松尾 恵太郎 愛知県がんセンター(研究所), 遺伝子医療研究部, 部長 (80393122)
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研究分担者 |
大中 佳三 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30325518)
山本 健 久留米大学, 医学部, 教授 (60274528)
細野 覚代 愛知県がんセンター(研究所), 疫学・予防部, 主任研究員 (80402600)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 飲酒 / 全ゲノム関連解析 / 遺伝子環境要因交互作用 |
研究実績の概要 |
初年度、第2年度に実施した愛知県がんセンターにおける全ゲノム関連解析(Phase I)において、飲酒行動と全ゲノムレベルで有意に関連を示す遺伝子多型は既知のALDH2 rs671のみであった。またこの遺伝子多型を考慮した上で、さらに全ゲノムレベル有意に関連を示す遺伝子座も認められなかった。以下の二つのアプローチに基づき、検討を継続している。 ①rs671に関しては既存研究でも報告されており、当初計画で想定していたPhase IIの検証研究をスキップし、rs671との関連検討並びに飲酒との各種疾患リスクに対する交互作用の検討を行う。②Phase I研究を行う飲酒に関する対象集団を日本多施設共同コホート研究(J-MICC)の横断研究GWASデータを追加し、新規遺伝子座を明らかにする。 ①に関して、新たに膀胱がんリスクに関してALDH2多型と飲酒習慣が遺伝子環境要因交互作用を示すことを新たに見いだした(Masaoka et al. Carcinogenesis 2016)。また、頭頸部・食道がんに関しては、実際の予防への応用を視野にいれた、遺伝子・環境要因を含めたリスク予測モデルの構築、累積罹患率の推計を行った(Koyanagi et al. Eur J Cancer Prev 2016)。乳がん・卵巣がんに関しては、乳がん疫学研究国際コンソーシアム(BCAC)、卵巣がん疫学研究国際コンソーシアム(OCAC)との共同研究として、ALDH2多型、飲酒習慣との関連に関して検討を行っている。本年度は、胃がん、喫煙習慣、その他生活習慣病との関連を進める。②に関しては、現在J-MICCのデータ申請が受理され、データの交付を待っている状態である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度、第2年度に実施した愛知県がんセンターにおける全ゲノム関連解析(Phase I)において、飲酒行動と全ゲノムレベルで有意に関連を示す遺伝子多型は既知のALDH2 rs671のみであった。またこの遺伝子多型を考慮した上で、さらに全ゲノムレベル有意に関連を示す遺伝子座も認められなかった。新規遺伝子座が認められていないため、Phase IIによる検証をスキップし、rs671多型と飲酒の意義が検討されていない疾患に関しての探索的な検討、rs671多型と飲酒の意義が明らかにされている疾患に関しては、予防介入につながる検討を行う形で研究を進めている。 また、Phase Iの補強を行うため、J-MICC研究との連携にこぎ着けているが、データリリースが遅れているため、若干遅れ気味で進んでいる。遅れを考慮した上で、以下の二つのアプローチに基づき、検討を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
①rs671に関しては既存研究でも報告されており、当初計画で想定していたPhase IIの検証研究をスキップし、rs671との関連検討並びに飲酒との各種疾患リスクに対する交互作用の検討を行う。本年度は、胃がん、喫煙習慣、その他生活習慣病との関連の検討を進める。頭頚部・食道がんで行った、知見を予防につながていく検討を可能な限り織り込む方針で進める。
②Phase I研究を行う飲酒に関する対象集団を日本多施設共同コホート研究(J-MICC)の横断研究GWASデータを追加し、新規遺伝子座を探索する。新規遺伝子座が認められた場合には別集団による検証を実施する。
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