研究課題/領域番号 |
26253043
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
磯 博康 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50223053)
|
研究分担者 |
澤田 典絵 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 室長 (00446551)
木山 昌彦 公益財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター(予防推進部・循環器病, その他部局等, その他 (10450925)
野田 愛 (池田愛) 順天堂大学, 医学部, 特任准教授 (10616121)
中谷 友樹 立命館大学, 文学部, 教授 (20298722)
山岸 良匡 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20375504)
本庄 かおり 大阪大学, 薬学研究科, 招へい准教授 (60448032)
斉藤 功 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90253781)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 認知症 / 動脈硬化性疾患 / 社会疫学 / 社会心理 / 生活習慣 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
本研究では、高齢者介護の主要な原因である認知症について、その予防を進めるために、地域の社会環境・経済要因から、個人の社会経済・心理要因、生活習慣、心理・生化学マーカー、生物学的危険因子、動脈硬化、認知症の発症への一連のプロセスを解明し、予防対策に資することを目的とする。平成28年度は次世代多目的コホート(JPHC-NEXT)のベースライン情報収集を完了した。随時、居住地情報をベースに社会人口統計体系市町村基礎データや地理情報システム(GIS)を利用して、地域社会環境・地域社会経済指標に関する地域データベースの作成を進めた。また、過去に実施された多目的コホート(JPHC)研究において、本研究の仮説を予備検証し、家族形態の変化(配偶者の喪失や家族の増加)(文献2, 35) 、就労状況の変化(失業の経験)(文献1)と脳卒中発症との関連を報告した。収集されたJPHC-NEXTのベースラインデータの一部により、仕事や家庭生活との係わりと自覚的健康感の関連を横断的に分析し、家庭と仕事の葛藤が高い人の自覚的健康感が悪く、その関連は特に社会経済的に弱い群でより強く認められた(文献10)。また、非婚、非正規雇用、低収入のある者において、ストレスが高く、抑うつ傾向が強く、望ましくない生活習慣を持つ人の割合が高い傾向がみとめられた(未発表データ)。 さらにCIRCS研究では、血液中のαリノレン酸濃度が高い人ほど認知症の発症リスクが低く(文献31)、また眼底の細動脈狭細所見が将来の認知症発症と関連すること(文献16)を見い出した。CIRCS秋田地区での発症登録を進めるとともに、大阪地区でも発症登録を開始した。JPHC-NEXTにおいても認知症発症に係る資料の収集を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域社会環境・地域社会経済指標に関する地域データベースが完成した地区から解析を開始している。CIRCSおよびJPHC-NEXTにおける認知症の発症登録が進捗している。地域の社会環境・経済指標と、個人の総死亡、動脈硬化性疾患発症、生活習慣に関する分析・報告が進み、本研究テーマに関連する知見が得られている。
|
今後の研究の推進方策 |
認知症発症登録をさらに進め、順次分析を進行させる。社会環境・経済指標に関連する地理的指標の充実を図る。分析可能となった地区から、社会環境・経済指標、心理・生化学マーカー、生物学的危険因子と動脈硬化性疾患、および認知症発症リスクに関する分析を進め、ひきつづき国内外での学会発表、論文発表を行う。
|