研究課題
高脂肪食負荷時には肝細胞のRubiconの発現は増加し、オートファジーは抑制されるが、このRubiconの発現増加が脂肪性肝疾患の病態に与える影響を検討した。肝細胞特異的Rubicon欠損マウスを作成し、高脂肪食摂取をさせて接取4ケ月後に解析を行った。肝細胞特異的Rubicon欠損マウスは同腹コントロールの野生型マウスと比較して、肝細胞内脂肪滴蓄積量の低下、肝内中性脂肪量の低下、肝重量の減少、TUNEL陽性肝細胞数の減少、血清ALT値の低下を認めた。さらに、col1a2発現も有意に低下した。高脂肪食負荷による肝細胞のRubicon発現増加は、肝脂肪蓄積および肝障害の増悪、肝線維化進展に寄与している可能性が示唆された。肝細胞に対してパルミチン酸を投与することによりRubiconの発現は増加するが、オートファジーは抑制される。このパルミチン酸投与によるRubicon増加が、インスリン感受性に与える影響を検討した。パルミチン酸投与および非投与のHepG2細胞に、インスリンを添加し、リン酸化Akt発現の変化を検討した。インスリン投与により増加するリン酸化Akt発現はパルミチン酸投与により減弱した。一方、高脂肪食摂取時の肝細胞特異的Rubicon欠損マウスでは明らかな耐糖能の改善は確認されなかった。パルミチン酸投与による肝細胞におけるRubicon増加がインスリン感受性に与える影響は、生体内では限定的であると考えられた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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