研究課題/領域番号 |
26253051
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
西中村 隆一 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (70291309)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腎臓発生 / ネフロン / 間質 |
研究実績の概要 |
腎臓はネフロン前駆細胞 (後腎間葉)、尿管芽、そしてその間を埋める間質の、主に3つの細胞集団の相互作用によって形成される。我々は発生過程を完全に模倣した5ステップの処理によって、マウスES細胞及びヒトiPS細胞からネフロン前駆細胞を誘導し、そこから立体構造をもった糸球体と尿細管を誘導することに成功した。そこで本計画は、幹細胞からさらに間質と尿管芽を誘導し、ネフロン前駆細胞と組みあわせて、腎臓の3次元構造を試験管内で再構築することを目的とする。
1. 間質前駆細胞のマーカー遺伝子の探索: 間質は発生期腎臓の外縁部に位置するFoxd1陽性の前駆細胞から派生する。そこでFoxd1の遺伝子座にGFPをノックインしたマウスから、GFP陽性細胞をFACSで集め、マイクロアレイ解析を行った。また同時に前駆細胞以外の間質細胞も集めて解析を行った。これによって既知の間質前駆細胞マーカーを濃縮できていることを確認した。未知の候補遺伝子群に関してはin situ hybridizationを行ったが、発現が前駆細胞に限局せず、信頼できる新たなマーカーは単離できていない。
2. ポドサイトが蛍光発色するヒト糸球体の構築: 本計画ではあくまでもマウスを先行させて誘導法の開発と3次元構造構築を目指すが、ヒトiPS細胞を使った道具立ては進めておく。TALENを使った相同組換えによって、糸球体ポドサイトで発現するネフリン遺伝子座にGFPをノックインしたヒトiPS細胞を樹立した。そこから腎臓方向へと誘導して、ポドサイトが光るヒト腎臓組織の作成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in situ hybridization装置の故障によって、間質前駆細胞のマーカー探索に遅れがでた。幸い数ヶ月でより感度の高い状態に回復させることができたものの、マイクロアレイから抽出した候補遺伝子の多くが前駆細胞に限局しておらず、信頼できる新規前駆細胞マーカーを単離できていない。
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今後の研究の推進方策 |
ES細胞から間質の誘導を目指すに際して、どの遺伝子発現を目安とするかが今後の課題である。複数の発生時期において発現解析を行い、指標とすべきマーカーを抽出する。 ネフリンGFP-iPS細胞に関しては、足突起の形態、マイクロアレイによるポドサイトの遺伝子発現解析、そして移植を計画している。
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