高脂肪食は免疫・代謝の異常を基盤とした生活習慣病を惹起する。我々は代謝と免疫の両方の制御に重要なアディポネクチン受容体(AdipoR)欠損マウスを用いて、高脂肪食により生活習慣病が発症するメカニズムを免疫細胞と実質細胞の相互作用レベル、臓器連関レベルで、特に腸内細菌叢と代謝産物に着目して、解明する。(1)高脂肪食、AdipoR欠損、合成・天然AdipoRアゴニストによる腸内細菌叢と腸内代謝産物の変化の解明:高脂肪食を負荷したマウス、AdipoR欠損マウス、アディポネクチン欠損マウス、野菜に含まれるが消化・吸収され難いオスモチンを経口投与したマウス、内服によっても血中濃度が十分に上昇する低分子量AdipoR活性化化合物を経口投与したマウスにおいて、腸内細菌叢と腸内代謝産物の変化を網羅的に解析した。(2)腸管免疫細胞、上皮細胞、内臓脂肪細胞等におけるAdipoRの病態生理的意義の解明:高脂肪食を負荷したマウス、AdipoR欠損マウス、アディポネクチン欠損マウス、オスモチンを経口投与したマウス、AdipoR活性化化合物を経口投与したマウスの、腸管免疫細胞、腸管上皮細胞、内臓脂肪細胞において、AdipoRやその細胞内シグナル伝達に関わるAMPK/SIRT1/PPAR経路に加えて、酸化ストレスやインフラマソームの制御に関わる経路、炎症に関して、解析を行った。(3)脂肪肝、NASH、心血管疾患の発症機構の解明:AdipoR欠損マウスの腸内細菌叢を移植された無菌マウスの、腸管免疫細胞、腸管上皮細胞、内臓脂肪細胞において、AdipoRやその細胞内シグナル伝達に関わるAMPK/SIRT1/PPAR経路に加えて、酸化ストレスやインフラマソームの制御に関わる経路、炎症に関して、解析を行った。脂肪肝、NASH、動脈硬化がAdipoRの低下で増加、AdipoRの活性化で抑制出来る可能性を見出した。
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