研究課題
食道―胃接合部形成機構の解明を目指し、GATA4-tdTomato/SOX2-GFPダブルレポーターマウスを主軸としたmouse geneticsとin vitro organoid作成技術を組み合わせた研究を展開した。その結果、①食道/胃は共にGATA4/SOX2共陽性のprimitive gut tubeに由来するが、GATA4発現領域は次第に尾側にシフトし濃度勾配を形成する。胎生13.5日頃に明確な口側境界を示し、それは食道―胃接合部形成領域に一致した。一方、SOX2はp63発現を介して扁平上皮の重層化に寄与することが分かった。胎生13.5日のRainbow MouseからSOX2+GATA4low, SOX2/GATA4mid, SOX2/GATA4highに細胞分取してin vitro でオルガノイドを形成させると、それぞれ食道オルガノイド、移行上皮オルガノイド、胃オルガノイドになり、この時期のSOX2/GATA4発現量による運命決定機構が示された。②成体マウスの食道―胃接合部に、限局したリン酸化ERKの発現を見出した。発生を遡ってみると、胎生15.5日以前は食道側の広い領域にpERKが発現しているが、それが次第に狭まってくることが分かった。これはGATA4陽性上皮を裏打ちする間質細胞由来のFgf10がSOX2陽性細胞に発現するFgf2Rを介しているものと考えた。これを前述のオルガノイドアッセイで検証したところ、確かにSOX2+GATA4low, SOX2/GATA4mid細胞ではオルガノイドの増大を認めたが、SOX2/GATA4high細胞では増殖が乏しいことが確認された。pERK発現領域の限局化には、GATA4陽性細胞内のMAPK inhibitor発現、さらにはpERKとGATA4自身によるSOX2抑制を介したFgf2R抑制が関与していると考えられる。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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