研究課題
これまで卵巣癌高異軽度漿液性癌が、遺伝子発現プロファイルにより予後の異なる4つの分類されることがすでに報告されているが、我々はこの分類方法が卵巣癌標準治療であるTC(タキサンとプラチナ)療法のそれぞれ薬剤の感受性に関連すること、およびその遺伝子発現サブタイプと相関する病理組織細分類を報告してきた。本研究では、卵巣癌の個別化医療を実践するために、卵巣癌を層別化し、それぞれの病態に応じた腫瘍微小環境を反映するシグナルと腫瘍免疫との関係性を明らかにし、個別化治療の根拠となる生物学的因子を複数同定した。これらは既知のみならず新規の薬物療法の感受性を予測するバイオマーカーになりうることを示した。1)卵巣癌漿液性腺癌の遺伝子発現を反映した新しい形態学的分類法によるMesenchymal Transition typeがT(タキサン)のdoseを高めたdose dense TC療法を用いるとTC療法よりも有意にprogression free survivalが延長することを示した。2)卵巣癌明細胞癌のエキソームシークエンス解析により、染色体17番長腕の増幅が、再発に寄与する領域であることを同定し、プラチナ耐性に関与していることを発見した。3)卵巣癌におけるVEGF発現が、Myeloid-derived suppressor cells(MDSC)を誘導することで免疫を抑制することを報告した。VEGF signatureが卵巣高異軽度漿液性癌の遺伝子発現サブタイプのImmunoreactive subtypeにおいて低発現であることを示した。4)卵巣癌におけるSNAI1誘導性のEpithelial Mesenchymal Transition (EMT)が、CXCR2リガンドの発現を増加させ、MDSCを腫瘍内へ誘導することで、免疫抑制に関与することを示した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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