研究課題/領域番号 |
26257008
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大澤 孝 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (20263345)
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研究分担者 |
鈴木 宏節 大阪大学, 文学研究科, 招へい研究員 (10609374)
白石 典之 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40262422)
山口 欧志 立命館大学, アートリサーチセンター, 研究員 (50508364)
松川 節 大谷大学, 文学部, 教授 (60321064)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 東モンゴル / 突厥時代 / 古代テュルク・ルーン文字 / タムガ / 遺跡の修復保存 / 古代テュルク語碑文 / 歴史考古学 / 歴史景観の復元 |
研究実績の概要 |
本年度では,モンゴル国科学アカデミー歴史研究所の考古学研究センターと締結した学術協定に基づき,上記研究機関のモンゴル人研究員の協力を得て、東部モンゴルでの2箇所の遺跡について,日本・モンゴル共同の発掘調査を実施することができた。 まず5月に東モンゴル国のヘンテイ県にある突厥時代のアグイト遺跡を発掘し,動物骨の一部や炭などの遺物を発掘した。その際には地中探索機械による遺物の埋葬状況をあらかじめ記録しながら発掘を実施し、ドローンを用いて遺跡全体の空中撮影を行い、歴史景観の復元を行うためのデータを集積することができた。また出土遺物の一部を放射性炭素年代方法によって分析することができた。 また9月には東モンゴル国スフバートル県ドンゴインシレー遺跡でその一部について,発掘調査を実施した。古代テュルク・ルーン文字が刻まれた碑文断片については拓本や写真をとって,新たな歴史事実の掘り起こしに努める材料を得た。また遺跡のマウンドの一部からは炭や動物骨の出土をみた。また本遺跡でもドローンによる遺跡の空中撮影を行い、遺跡の歴史景観を再考するためのデータの集積に努めた。これらは先の碑文データと照らしあわせて、本遺跡からの出土遺物の埋葬年代や遺跡の作成年代を明らかにするための根本資料となる。但し、碑文については,板石上の文字自体が摩滅や損傷によって解読困難な箇所が多く含まれており、確実な読みを提示するまでには更なる調査の継続が必要なこともたしかである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では,平成26年度からモンゴル東部の新発見のドンゴインシレー碑文遺跡の発掘を行う予定であったが、モンゴル側の事情もあり、平成26年度ではモンゴル国の西部及び東部で、古代テュルク関連の遺跡や碑文について表面調査を実施し、従来の碑文の読みについて検討を加える機会を得,また本課題に関連して私が国際シンポジウムを主催し、新たな成果を一般市民の前で発表できた。また東部モンゴルの表面調査では,偶然とはいえ,東モンゴルのヘンテイ県デルゲルハーン郡の谷間でおそらくは,突厥時代の石囲い遺跡を複数横に並べた群集遺跡を発見した。平成27年度に入って,この群集墓については5月に実施し,動物骨や炭などの出土をみた遺物の一部を分析にかけ,演題測定を実施し作成年代や歴史背景を探るデータを得ている。またドンゴインシレー遺跡については、その一部ではあるが、9月に発掘を行い、文字やタムガを含む碑文断片や、動物骨などの遺物の出土を見た。現在,この出土も物については整理分析中であり、現時点では本研究課題は概ね順調に進捗しているものと判断される。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度については,現時点ではモンゴル東部のドンゴインシレー遺跡の発掘調査許可をモンゴル文部省に申請中である。もしその発掘許可がありた場合は今年度の9月中に昨年発掘できなかった地点について、発掘を進める予定である。また昨年度には鮮明には取れなかった碑文断片の文字についても、再度調査を進める予定である。また本遺跡を含む国際シンポジウムを9月下旬にモンゴル国のウランバートルで開催する予定であり、ここで今回の発掘成果や碑文解読について成果の一部を報告したいと考えている。 また、モンゴル側からは遺跡のある地元のスフバートル県テブシンシレー郡からは、遺跡の修復保存を含む展示方法についても協力を求められている現状を踏まえて,先の国際シンポジウムでは日本側からの協力の有り様について、何らかの手立てを考える機会にしたいとも考えている。
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