発展途上地域における困難な状況にある子どもの教育に関する国際比較フィールド研究

2014 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 26257112
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 澤村 信英 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (30294599)
• 研究分担者: 乾 美紀(寺尾美紀) 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (10379224) ; デロスレイエス C 大阪大学, 人間科学研究科, 非常勤講師 (10599252) ; 小野 由美子 鳴門教育大学, 学校教育研究科, 教授 (20177273) ; 大塲 麻代 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (30578828) ; 中村 安秀 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60260486) ; 吉田 和浩 広島大学, 教育開発国際協力研究センター, 教授 (70432672) ; 日下部 達哉 広島大学, 教育開発国際協力研究センター, 准教授 (70534072) ; 内海 成治 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (80283711) ; 川口 純 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (90733329)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2018-03-31
• キーワード: 教育学 / 社会学 / 文化人類学 / 民族学

研究実績の概要

本研究の対象である「困難な状況にある子ども（vulnerable children）」とは、障害児や労働をしている子ども、ストリートチルドレン、遊牧民の子ども、難民の子ども、孤児、言語的・民族的あるいは文化的マイノリティの子ども、ならびにその他の不利な状況にある子どもを想定している。この背景には、国連「ミレニアム開発目標」などにおいて、2015年を初等教育完全普及の目標達成年として、このような子どもの就学支援が大きな課題になっていることがある。
本研究の目的は、アフリカ4か国、中近東2か国、アジア3か国を対象とし、このような子どもを支援する学校（教師）の実践事例を個別に調べ、そのような子どもが生まれ、就学が阻害される要因について、その社会的背景や構造と共に明らかにすることである。不就学の原因を探求するのではなく、学校が果たしている子どもを保護する機能に注目することに特徴がある。そして最後に、このような子どもへの就学を通した生活改善モデルを探索する。
今年度（初年度）は準備段階にあたり、まず困難な状況にある子どもと教育に関する学術研究および援助機関が行う調査研究の双方の文献をレビューした。次に、比較教育学会（6月）において主要研究分担者および連携研究者・研究協力者の参加を得て、分析の要素となる情報を共有し、相互に議論を深めた。その後、現地調査を研究環境が比較的整っている6か国（ケニア、マラウイ、シリア／トルコ、アフガニスタン／イラン、ラオス、モンゴル）で実施し、研究の基本枠組み作りの基礎となるデータの収集、整理を行った。総括として、国際開発学会（11月）において本研究テーマに特化した企画セッションを組織し、他の研究者との交流、意見交換を行った。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

フィールド調査及び初期的な研究成果発表をほぼ計画どおり行うことができた。ただし、南スーダンは治安情勢悪化に伴い中止した。

今後の研究の推進方策

今年度は第2年目にあたり、初期的な研究成果を踏まえて、子どもを支援する学校（教師）の実践事例を整理分析し、ゆるやかな研究の枠組みを作る。また、それらを研究分担者等の間で共有し、研究の総括へ向けためどを一定程度つける。

研究成果

• [雑誌論文] 発展途上地域における困難な状況にある子どもの教育研究―検討すべき研究の視点と方法― (2014)
  • 著者名/発表者名: 日下部光
  • 雑誌名: アフリカ教育研究 巻: 5 ページ: 85-96
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] マラウイにおける孤児の生活と就学―中等教育の事例― (2014)
  • 著者名/発表者名: 日下部光
  • 雑誌名: アフリカ教育研究 巻: 5 ページ: 104-109
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 難民により運営される学校が子どもの脆弱性の軽減に果たす役割―トルコに避難したシリア人生徒の視点から― (2014)
  • 著者名/発表者名: 山本香
  • 雑誌名: アフリカ教育研究 巻: 5 ページ: 109-114
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] グローバルガバナンス理念としてのインクルーシブ教育の可能性と課題 (2014)
  • 著者名/発表者名: 黒田一雄
  • 雑誌名: アフリカ教育研究 巻: 5 ページ: 100-104
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] インド タミルナールドゥ州におけるインクルーシブ教育の事例研究 (2014)
  • 著者名/発表者名: 日下部達哉
  • 雑誌名: 国際教育協力論集 巻: 17(1) ページ: 31-44
  • オープンアクセス
• [学会発表] 長期化する難民状態にある人々と「居場所」の創出―イランにおけるアフガニスタン難民による学校運営を事例として― (2015)
  • 著者名/発表者名: 朝隈芽生
  • 学会等名: 2014年度イラン研究会
  • 発表場所: 東京外国語大学
  • 年月日: 2015-03-28 – 2015-03-29
• [学会発表] How Do Syrian-managed Schools Help Thier Children in Turkey? Mitigating the Vulnerability of Refugee Childen under Coflict (2015)
  • 著者名/発表者名: Kaoru YAMAMOTO
  • 学会等名: Comparative and International Education Society
  • 発表場所: Washington Hilton Hotel, Washington DC, USA
  • 年月日: 2015-03-08 – 2015-03-13
• [学会発表] Schooling under the Threads of Environmental Change in Kenya (2015)
  • 著者名/発表者名: Ayumi KUNIMASA
  • 学会等名: Comparative and International Education Society
  • 発表場所: Washington Hilton Hotel, Washington DC, USA
  • 年月日: 2015-03-08 – 2015-03-13
• [学会発表] Creating Muslimness and Its Dissemination Process in South Asia (2015)
  • 著者名/発表者名: Tatsuya KUSAKABE
  • 学会等名: Comparative and International Education Society
  • 発表場所: Washington Hilton Hotel, Washington DC, USA
  • 年月日: 2015-03-08 – 2015-03-13
• [学会発表] 難民による自主運営校とボランティア―イランにおけるアフガニスタン難民による学校運営を事例に― (2015)
  • 著者名/発表者名: 朝隈芽生
  • 学会等名: 国際ボランティア学会第16回大会
  • 発表場所: 京都女子大学
  • 年月日: 2015-02-28 – 2015-02-28
• [学会発表] シリア難民による学校運営と公共性の保障 (2015)
  • 著者名/発表者名: 山本香
  • 学会等名: 国際ボランティア学会第16回大会
  • 発表場所: 京都女子大学
  • 年月日: 2015-02-28 – 2015-02-28
• [学会発表] ケニアの半乾燥地帯の学校における自然環境災害に対する活動 (2015)
  • 著者名/発表者名: 國政歩美
  • 学会等名: 国際ボランティア学会第16回大会
  • 発表場所: 京都女子大学
  • 年月日: 2015-02-28 – 2015-02-28
• [学会発表] マラウイの中等学校における孤児の就学を支える仕組み―ＮＧＯによる支援に着目して― (2015)
  • 著者名/発表者名: 日下部光
  • 学会等名: 国際ボランティア学会第16回大会
  • 発表場所: 京都女子大学
  • 年月日: 2015-02-28 – 2015-02-28
• [学会発表] バングラデシュ竜巻災害からの教育復興 (2015)
  • 著者名/発表者名: 日下部達哉
  • 学会等名: 国際ボランティア学会第16回大会
  • 発表場所: 京都女子大学
  • 年月日: 2015-02-28 – 2015-02-28
• [学会発表] 難民間のコミュニティ形成に果たす学校の役割―シリア難民の事例― (2014)
  • 著者名/発表者名: 山本香
  • 学会等名: アジア教育研究会
  • 発表場所: 大阪大学
  • 年月日: 2014-12-12 – 2014-12-12
• [学会発表] イランにおけるアフガニスタン難民の教育―若者のアイデンティティに着目して― (2014)
  • 著者名/発表者名: 朝隈芽生
  • 学会等名: 国際開発学会第25回全国大会
  • 発表場所: 千葉大学
  • 年月日: 2014-11-29 – 2014-11-30
• [学会発表] 難民となったシリア人生徒の就学理由―トルコにおいて難民により運営される学校を中心に― (2014)
  • 著者名/発表者名: 山本香
  • 学会等名: 国際開発学会第25回全国大会
  • 発表場所: 千葉大学
  • 年月日: 2014-11-29 – 2014-11-30
• [学会発表] ケニアの自然環境変化と学校教育―環境認識と配慮行動に着目して― (2014)
  • 著者名/発表者名: 國政歩美
  • 学会等名: 国際開発学会第25回全国大会
  • 発表場所: 千葉大学
  • 年月日: 2014-11-29 – 2014-11-30
• [学会発表] マラウイにおける孤児の生活と教育―中等教育の事例― (2014)
  • 著者名/発表者名: 日下部光
  • 学会等名: 国際開発学会第25回全国大会
  • 発表場所: 千葉大学
  • 年月日: 2014-11-29 – 2014-11-30
• [学会発表] 南スーダン紛争後の教授言語変更と初等教育への影響 (2014)
  • 著者名/発表者名: 澤村信英・山本香
  • 学会等名: 国際開発学会第25回全国大会
  • 発表場所: 千葉大学
  • 年月日: 2014-11-29 – 2014-11-30
• [学会発表] 困難な状況にある子どもの教育（企画セッション） (2014)
  • 著者名/発表者名: 黒田一雄・日下部光・山本香・森下稔・吉田和浩・内海成治・澤村信英
  • 学会等名: 国際開発学会第25回全国大会
  • 発表場所: 千葉大学
  • 年月日: 2014-11-29 – 2014-11-30
• [学会発表] マラウイにおける孤児の生活と就学支援―中等教育における実践― (2014)
  • 著者名/発表者名: 日下部光
  • 学会等名: 第14回アフリカ教育研究フォーラム
  • 発表場所: 総合地球環境学研究所（京都市）
  • 年月日: 2014-11-24 – 2014-11-25
• [学会発表] マラウイの中等学校における孤児の就学継続に関する取り組み (2014)
  • 著者名/発表者名: 日下部光
  • 学会等名: 第三世界の教育研究会
  • 発表場所: 京都女子大学
  • 年月日: 2014-11-15 – 2014-11-15
• [学会発表] イランにおけるアフガニスタン難民自主運営校の役割―生徒と教員のアイデンティティに注目して― (2014)
  • 著者名/発表者名: 朝隈芽生
  • 学会等名: 第14回アフリカ教育研究フォーラム
  • 発表場所: 総合地球環境学研究所（京都市）
  • 年月日: 2014-10-24 – 2014-10-25
• [学会発表] 難民による避難に関する自発的意思決定の要因と教育に対する意識―シリア難民による欧州への移動に着目して― (2014)
  • 著者名/発表者名: 山本香
  • 学会等名: 第14回アフリカ教育研究フォーラム
  • 発表場所: 総合地球環境学研究所（京都市）
  • 年月日: 2014-10-24 – 2014-10-25
• [学会発表] ケニアにおけるソマリア難民の第三国定住について (2014)
  • 著者名/発表者名: 内海成治
  • 学会等名: 第14回アフリカ教育研究フォーラム
  • 発表場所: 総合地球環境学研究所（京都市）
  • 年月日: 2014-10-24 – 2014-10-25