研究課題/領域番号 |
26257201
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
飯塚 芳徳 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (40370043)
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研究分担者 |
植村 立 琉球大学, 理学部, 准教授 (00580143)
本山 秀明 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (20210099)
関 宰 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (30374648)
的場 澄人 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (30391163)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アイスコア / 人為起源物質 / エアロゾル / グリーンランド |
研究実績の概要 |
申請者らはH27年度にグリーンランド南東部で90mのアイスコアの採取に成功し、アイスコアを無事に日本に輸入した。H28、29年度にはアイスコアの物理的・化学的な分析を実施した。H29年度は分析を推進するだけではなく、分析結果に基づいた過去のエアロゾルと気温変動に関して、国際誌などに成果を公表した。特筆すべき成果としては1)アイスコアの精密な年代決定法を確立し、アイスコアの同位体比から約2か月の精度でこのアイスコアの年代を決定したこと、2)その年代を用いて、過去60年間の硫酸イオンや硝酸イオンフラックスを提示し、人為起源発生量と対比したこと、3)ヨウ素同位体比から欧州における核燃料再処理工場の生産量の変遷、4)グリーンランドの積雪構造モデルに対して涵養量の大きい南東ドーム地域の応答について、があげられる。1)、2)については、H28年度に公表した物理データとともに、同位体比やイオン濃度などの基本データとして公表済であり、今後共同研究者が成果を創出するにあたり、ベースとなるデータを供出したことになる。また、これらの成果のプレスリリースを行い、研究者に限らず幅広く成果をアピールした。上記以外の分析についても多くの学会発表を行い、論文化できる潜在的な研究成果が数多く上がっている。H29年8月30日-9月2日に南東ドームアイスコアに関する研究集会を開催した。25名の共同研究者が参加し、各分析の進捗状況等を話し合い、連携強化と効率的な成果の公開に向けた打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
解析しているアイスコアはこれまでグリーンランドで掘削されていない地域で得られたものであり、高精度の年代のもと高時間分解能な古環境情報を解読できる優れたコアであることを明らかにした。特に、従来になかった同位体比モデルを利用した月単位の年代決定法の確立、氷床ドームアイスコアからは正確な復元が不可能であったとされてきた硝酸エアロゾルの経年変動を可能にする中でオンリーワン的なコアであることが特筆すべき点である。 また、日本国内の独創的な分析をされている方々との共同研究を推進しており、得られる成果の新規性・独創性は極めて高くなると考えている。H30年度はこういった共同研究からの応用解析的な成果の創出を見込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たるため、引き続き分析・解釈・成果の公表に取り組む。また、研究集会を開催し、共同研究者が成果を創出しやすいようにサポートする。
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