研究課題/領域番号 |
26257301
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
永淵 修 福岡工業大学, その他部局等, 客員教授 (30383483)
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研究分担者 |
金藤 浩司 統計数理研究所, データ科学研究系, 教授 (40233902)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 小規模金採掘 / 水銀 / 大気 / 水系 / リスク評価 |
研究実績の概要 |
2017年7月外モンゴルにおいて調査を行った。調査地域は外モンゴルの大規模金採掘現場および、環境保全活動を精力的に行うウランバートル近郊の村である。調査は、オーストラリア国立大学の研究員、モンゴル科学アカデミーの研究員と共同で行った。大気および地下水、ため池の水銀濃度の観測を行った。 ここで得られた水質の測定結果は次年度以降、現地の住民にフィードバック予定である。 また、昨年度までに内モンゴルで調査を行った村の副村長および内蒙古農業大学の研究者、オーストラリア国立大学の研究者を招き、内モンゴルの地下水を考えるというトピックでワークショップを実施した。飲料水中にフッ素が含まれることと、それを避ける方策として、羊骨炭の利用や、雪水の利用を提案した。 ASGM周辺では精錬過程で、大気中に水銀が大量に放出される。しかし、多くの水銀計は商用電源が必要となるなど、任意の場所でその濃度を観測することが困難であった。 そこで、モバイル型水銀計と金吸着装置を合体させた低濃度も計測できるモバイル型水銀計の電源部を改良し、移動しながら長時間観測できる装置にした。元の合体した装置はリチウム電池で駆動させるが、長時間は電源が持たない。また、海外へのリチウム電池の持ち出しができないため、本研究では使えなかった。そこで、車用バッテリー、車のシガーライターあるいは商用電源を利用して駆動できるように改造した。これにより、ASGM周辺の水銀濃度の水平分布を観測できるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年の内モンゴル東ウジュムチン旗の地下水のヒト健康リスクを評価し、タイトル“Risk assessment of fluoride and arsenic in groundwater and scenario analysis for reducing exposure: Observations from Inner Mongolia”を投稿中である。 モンゴルにおいて、いわゆるNinjaと呼ばれる小規模金採掘を個人的に実施しているグループの村における調査結果をInternational Journalに投稿する準備を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、世界で最も大気汚染が激しいといわれているモンゴルの首都ウランバートルの水銀汚染についても調査を行い、日本への影響およびウランバートル市民のヒト健康リスク評価についても検討する。なお、ウランバートルのPMは世界基準の25倍、北京の2倍といわれており、この要因の一つが劣悪な石炭使用にあることが明らかになっており、それに伴い大気中水銀の濃度も高いことが予測される。 ドローンを使用してASGM地域の大気中水銀の鉛直分布を観測する。この観測のためにポンプの軽量化、0.5L/minで20分程度で分析可能な金ナノ粒子を吸着材としたカラムを利用し、原子蛍光分析装置で感度よく分析できる方法を確立する。
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