研究課題/領域番号 |
26257302
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 宏明 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70344017)
|
研究分担者 |
中田 典秀 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00391615)
花本 征也 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (10727580)
宮川 信一 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), その他部局等, 助教 (30404354)
井原 賢 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (70450202)
井口 泰泉 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), その他部局等, 教授 (90128588)
山下 尚之 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90391614)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | レポータージーンアッセイ / エストロゲン様作用 / TGFα切断アッセイ / 生理作用 / 下水 / 下水処理 / 河川 / モデル化 |
研究実績の概要 |
本研究は、エストロゲンや医薬品類などの生理活性物質に焦点を当て、英国、韓国、中国も都市化が進展している流域で、下水に起因する生理活性物質の水環境、下水、下水処理水の存在濃度を把握し、現地調査を行う。また内分泌かく乱性と生理活性を評価するため、機器分析を行うとともに、ヒトおよび魚類のホルモン受容体を組み込んだレポータージーンアッセイおよびアルカリホスファターゼ融合TGFα切断アッセイを用いて、内分泌かく乱性と生理活性を総括的に評価するとともに、その原因となる化学物質の由来を調査し、日本と東アジア諸国と英国の汚染の比較と今後の対策のための、下水道ー流域モデルを構築して、対策を検討する。 (1)英中韓での下水処理場、河川水の現地調査を英国および韓国で進めた。 (2)魚類とヒトのエストロゲン受容体アッセイでの下水、下水処理水、高度処理水でのエストロゲン作用、抗エストロゲン作用の変化と相互作用の変化を推定した。 (3)TGFα切断アッセイの下水、環境水への適用性を改善し、極性分画によるアゴニスト、アンタゴニストの分離を行い、下水での存在を検出した。これらの結果から日英での生理活性の由来の相違を推定した。 (4)下水処理、河川での医薬品類の動態を把握し、光分解、水ー底質の移行のモデル化を試みた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)英国および韓国では、下水処理場、河川での採水を中心に行っており、順調に進行している。中国においては、河川調査の実施が当局からの許可されないため、下水道での実施を中心に検討を変更する。 (2)TGFα切断アッセイは、受容体への結合を行うアゴニストとその結合を阻害するアンタゴニストとの相互作用があり、水環境や下水に存在する妨害物質の干渉が課題であったが、極性分画を用いて分離することで、一部改善できた。 (3)光分解、底質や活性汚泥への吸着分解についての理解が進み、一部モデル化に着手した。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)英中韓での下水処理場、河川での採水調査は、英韓を中心に継続して進める。中国については、下水道を中心に採取ができる水務集団などと連携を強める。 (2)TGFα切断アッセイについては、下水や処理水での生理活性の由来を突き止めるとともに、下水処理過程での生理活性の変化についての理解にも着手する。 (3)流域での医薬品類の存在濃度のデータと流下過程での変化のモデル化を改善していく。また下水処理での医薬品類の挙動モデルを作成し、実測値と比較する。
|