研究課題/領域番号 |
26257306
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤原 章正 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (50181409)
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研究分担者 |
張 峻屹 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (20284169)
瀬谷 創 広島大学, 国際協力研究科, 助教 (20584296)
神田 佑亮 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60636463)
塚井 誠人 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70304409)
桑野 将司 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70432680)
力石 真 広島大学, 国際協力研究科, 特任准教授 (90585845)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | オールド・ニュータウン / モビリティ水準 / 自立性分析 / 政策伝搬の発展的連鎖 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はライフサイクル段階に応じて変化するニュータウン住民のモビリティ水準(QOM)を先進国の成熟都市と途上国の成長都市の双方で計測・比較し、アジアの途上国都市のニュータウンの持続可能な地区計画の有り様について検討することを目的とする。計画した3つの研究段階について研究実績を整理する。 【1.都市の発展段階が異なる多様なニュータウンにおいてQOMを計測する基礎研究】 先進国および途上国の16ニュータウンを訪問し、現状視察と研究者および政策担当者へのヒアリングを継続して行った。具体的には、先進国ニュータウンとして日本2箇所(多摩市、福岡)、英国4箇所(ロンドン都市圏、リバプール,リーズ、ケンブリッジ)、韓国3箇所(ソウル都市圏、セジョン特別自治市、忠清南道)、米国1箇所(ニュージャージー州)を、また途上国ニュータウンとしてベトナム3箇所(ハノイ都市圏)、インドネシア1箇所(ジョグジャカルタ)、フィリピン1箇所(セブ)、インド1箇所(アーメダバード)である。 【2.途上国都市で出現するオールド・ニュータウン問題を予防・緩和するための地区交通計画の比較研究】 前年度作成した類型化指標に基づきこれらのニュータウンを類型化した。これらのなかで韓国およびベトナムのニュータウンではより詳細な交通行動実態を調べるために各々約300世帯を対象にアンケート調査を実施した。また、日本のニュータウンデータを用いて、ニュータウン住民の生活の自立性分析、生活関連施設の撤退分析、買物施設と移動環境との市場的相互作用分析、駐車場価格の弾力性分析を行った。ハノイのデータを用いて、ニュータウン住民の自立性分析を行い日本との比較を行った。 【3.順方向の政策伝搬と逆方向の政策伝搬の発展的連鎖に関する基礎研究】 広島とハノイの自立性分析により順方向の政策伝搬について基礎分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で示した3段階のうち、1.に関しては、1年間で8ヶ国16ニュータウンで現地視察を完了した。年度初めに英国で予定していたアンケート調査が調査契約に時間を要しで次年度持ち越しとなった一方で、韓国で翌年度に予定していた調査を前倒して実施した。2.に関しては、日本国内を中心とする先進国のQOM分析は順調に進み、研究成果の一部を学術論文および書籍として16件出版し、研究発表を11回行った。これらのうち査読付き論文が8件、招待講演8回を含んでおり、順調に実績を残した。3.に関しては、モデルの理論研究を開始したところである。 以上より、「おおむね順調に進展している」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度(2016年度)では、調査の実施が遅れているロンドン、バンコクおよびバンドンにおいて過年度と同様の設計で調査を実施する。2年度目(2014-15年度)までに実施した先進国都市(広島、ソウル)および途上国都市(ハノイ)のニュータウンの視察およびアンケート結果とこれらを総合し指標を揃えて【研究段階1】、効率性評価モデルを応用したQOM計測モデルを構築し、自立性に焦点を当てた現状の評価を行う。また生活関連施設と移動環境との相互作用分析の高度化を図る【研究段階2】。 また、オールド・ニュータウン政策の都市間伝搬の検証を行う。具体的には、途上国都市のパラトランジットの運行最適化モデルを構築し、DRTの柔軟な運行を日本のオールド・ニュータウンに還元した政策シナリオによるQOM向上効果を推計する。Grounded Theory Approachを援用して政策の都市間伝搬過程を解明するための調査を実施し、こうした途上国都市から先進国都市への逆方向の政策伝搬と順方向の政策伝搬が相互に補完し合うことのできる発展的連鎖の構成概念を提示する【研究段階3】。 本研究成果を取りまとめ、国際会議等やジャーナルで査読付き英文論文として公表するとともに日本国内の書籍として公表する。
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