研究課題/領域番号 |
26257404
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
金子 弥生 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60413134)
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研究分担者 |
増田 隆一 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80192748)
聶 海松 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10626716)
角田 裕志 岐阜大学, 応用生物科学部, その他 (50601481)
上遠 岳彦 国際基督教大学, 教養学部, 講師 (10245657)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生態系修復 / 多様性評価 / コミュニケーション / DNA / 人口動態 / Meles / 東アジア / 極東ロシア |
研究実績の概要 |
本研究は、食肉目野生動物を食料や漢方薬、毛皮として利用する中国および東アジア、ロシア極東地域の経済活動によって、絶滅危惧となったブタバナアナグマを含む中型食肉目5種を指標種として、生息地改善および経済的利用の抑止の両面から個体群復元のための保全策を提案する。ファインスケールとラージスケールにて個体群の遺伝的構造、社会生態、生息地保全のためのkey habitat、動物と人間との関わりを調査する。そして動物による種子分散をとおした保護区管理方法、および地域生態系の動物の役割についての地域住民への普及啓蒙内容を具体的に提案する。現在もなお拡大する野生動物市場問題の解決、また経済的利用により劣化した野生動物個体群復元のための地域アプローチ策は、アジア全域とロシア極東地域に適用することができる。 環境選好性や人間との関わりの程度の異なる中型食肉目5種(ブタバナアナグマArctonyx collaris、 ユーラシアアナグマMeles spp., ハクビシンPaguma larvata, イシテンMartes foina、キエリテンM. flavigula)を、東アジアおよび極東ロシア地域の食肉目群集の生息地保護のための指標種として位置づけ、以下の3項目について明らかにする。 1. 森林消失や開発による生息地の断片化の実態 2. ラージスケール、およびファインスケールにおける動物個体群の衰退状況と影響要因 3. 食肉目保護の障害となる問題(野生動物の食肉や毛皮利用)の実態、住民の動物への意識
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
日本とブルガリア、英国の生態研究者とで、英国とブルガリアの動物捕獲によりDNAサンプリングとして生体からの組織、および臭腺サンプルの採取を行った。注目種のニホンアナグマとブタバナアナグマについて生態学的成果があがった。さらに、中国と日本の研究者とで広州住民の動物に対する意識の聞き取り調査と、人口動態などの社会科学調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
広域調査では、ロシア2地域(KirovとBaikal)からユーラシアアナグマ(種名:アジアアナグマMeles leucrus)のDNAサンプルと臭腺分泌物を採取する。中国保護区ではGPS自動追跡のための首輪を動物に装着し、行動圏と環境選択を調査する。 広域調査では、引き続きロシアと中国において調査を行う。28年度の最後までに、このプロジェクトで作成された遺伝子情報とGISマップについて、研究チームが共同で利用するための森林や土地利用のデータベースの作成を行う。また、以下のアクションプラン作成を行う。 広域調査では、中国とカンボジアからブタバナアナグマ、ハクビシン、(種名:アジアアナグマMeles leucrus)のサンプリング地域(后河とカンボジア中央部)から、DNAサンプルと臭腺分泌物を採取する。最終報告書と科学論文を作成する。STRUCTURE、およびGAP分析の成果をわかりやすく表示するための教材開発や小冊子の作成を行う。また、この年の夏に開催される国際学会(12th International Mammalogical Congress、開催地はパース)にて、シンポジウムを主催し、アジアの食肉目保護策についてのIUCN小型食肉目グループ専門家グループへ提言する。
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