研究課題/領域番号 |
26257405
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
吉村 仁 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (10291957)
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研究分担者 |
曽田 貞滋 京都大学, 理学研究科, 教授 (00192625)
柿嶋 聡 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 支援研究員 (30648580)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 周期ゼミ / 進化メカニズム / 米国 / 分子系統解析 / シミュレーション / 素数 / 大発生 / アリー効果 |
研究実績の概要 |
本年度の学術調査(17年ゼミ、ブルードⅤ)である。本年度は、ブルードVは、ウェスト・ヴァージニア州とその周辺の州(オハイオ州、ヴァージニア州、ペンシルバニア州)とロングアイランドで発生が予定されている。これらが学術調査に加えて、ヴァージニア州のFredericksburg市に周期ゼミの数年前に発生したブルードの幼虫の採集(RNA分析)をした。さらに、6年周期植物のコダチスズムシソウやその近縁種の調査を沖縄・台湾・東南アジアなどですすめた。本課題の実証研究の中心的な目的である周期ゼミの進化史に関係する問題で、13年ゼミの2種間(Magicicada tredecimとM. neotredecim)の交雑の検証して、交雑の痕跡は今回の解析では発見できなかった(Molecular Ecology (IF 5.9)に発表)。さらに、周期ゼミのXIIIブルードの詳細な分布をAmerican Entomologistに掲載した。これら、周期ゼミの調査・実証研究の他、異なるブルード間の幼虫の競争排除のシミュレーションによる研究を進めた(現在、投稿論文を作成中)。また、絶滅回避問題として、日本の固有種で絶滅危惧種で湧水性植物ハタベカンガレイの存続問題を、雨量と流失の観点から調査、ある程度の雨量を超えると流出が起こるが、雨の頻度・毎日の連続性も重要であることを見出した(PLoS ONEに発表)。その他、植物の群落の多様性がどのように維持されているかなど、絶滅回避の適応など進化・共存に関する多くの論文を発表、合計11報掲載、IF合計で35以上であった(ネイチャー姉妹誌Scientific Reportsに5通、サイエンス誌の新しいオンライン姉妹誌Science Advancesに1通掲載など)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本課題の実証研究の中心的な目的である周期ゼミの進化史に関係する問題で、13年ゼミの2種間(Magicicada tredecimとM. neotredecim)の交雑の検証を実施、Molecular Ecology (IF 5.9)に発表したことは、非常に大きな成果である。さらに、周期ゼミのXIIIブルードの詳細な分布をAmerican Entomologistに掲載したことは、周期ゼミの研究には重要である。また、絶滅回避問題として、日本の固有種で絶滅危惧種で湧水性植物ハタベカンガレイがどの程度の雨量により流失してるかを検証した論文をPLoS ONEに発表した。その他、絶滅回避の適応など進化・共存に関して多くの論文を執筆、その多くをネイチャー姉妹誌Scientific Reportsにまたサイエンス誌の新しいオンライン姉妹誌Science Advancesにも1通掲載、合計11報掲載(IF合計で35以上)できたことは本来の計画の数倍の成果である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の学術調査(17年ゼミ、ブルードⅥ)を現在準備中である。本年度は、ブルードⅥは、ノースカロライナ州からサウスカロライナ州を経てジョージア州にかけてのアパラチア山脈を中心に発生するが、さらにオハイオ州、ヴァージニア州、ペンシルバニア州など遠方の州でも小さな発生が期待されてる。さらに、ほかのセミと昆虫相の調査も兼ねて、亜熱帯のフロリダ州まで学術調査に加えていく。周期ゼミの数年前に発生したブルードの幼虫の採集(RNA分析)などを進める。その他、6年周期植物のコダチスズムシソウの調査を沖縄・台湾・東南アジアなどで、また8年で周期発生するキシャヤスデの調査もすすめる。理論研究は、周期ゼミのブルード境界の分離・競争排除の動態の論文作成や、その他の生物での環境変化・変動に対する適応の問題を扱う。
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