研究課題/領域番号 |
26257408
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古市 剛史 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20212194)
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研究分担者 |
橋本 千絵 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (40379011)
坂巻 哲也 京都大学, 霊長類研究所, 研究員 (50402780)
伊谷 原一 京都大学, 野生動物研究センター, 教授 (70396224)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 人類学 / 霊長類学 / 地域社会 / 集団間移籍 / 集団間関係 |
研究実績の概要 |
①ボノボの集団間の出会いと果実量センサスの結果を合わせて分析したところ、集団間の出会いは利用可能な果実量が多い時期に頻繁に起こっており、発情メスの数には大きく影響されていないことがわかり、国際学術誌上で発表した。 ②ボノボの集団間の出会いに際する行動の分析の結果、平和的とされてきたボノボでもオスが自集団のメスを守るため他集団のオスに対して攻撃的行動をとることや、オスからメスへの誇示的攻撃行動に対し、異なる集団に属するメスが協力して対抗するといった傾向が見られ、これらの結果を国際学術誌上で発表した。 ③ボノボについて、直接観察によるデータと遺伝子分析による母子関係の判定をもとに、出自集団を出たメスがどのくらい遠くの集団に移籍するかを推定した。その結果、約60%のメスが隣の集団に移籍してそこで定着しているという新たな推定が得られ、国際学1 術誌で成果を出版した。このことは、メスが移籍する父系社会をつくるボノボでも、地域個体群内のメスの血縁関係が比較的高く保たれることを示唆しており、ボノボの地域個体群内の平和的な集団間関係の一因となっていると考えられた。 ④本研究の成果、およびこれまでの先行研究の成果をまとめ、ヒト亜科の類人猿とヒトの集団間関係の種間、地域個体群間、地域個体群内の集団間関係の変異について分析し、国際学術誌上で発表した。分析の結果、とくにボノボの集団間関係について、地域個体群内の集団の組み合わせによる変異が大きいことがわかり、移籍するメスとその出自集団との関係がそういった変異に寄与している可能性が示唆された。このことは、メスの移籍を介してメスの出自集団と移籍先の集団に親和的関係が形成され、そのネットワークによって形成されているヒトの地域社会と類似のメカニズムが働いていることを示唆しており、ヒト亜科における地域社会の成立要因の研究に新たな知見をもたらした。
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現在までの達成度 (段落) |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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