研究課題/領域番号 |
26257411
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
稲村 達也 京都大学, 農学研究科, 教授 (00263129)
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研究分担者 |
縄田 栄治 京都大学, 農学研究科, 教授 (30144348)
井上 博茂 京都大学, 農学研究科, 講師 (40260616)
間藤 徹 京都大学, 農学研究科, 教授 (50157393)
廣岡 博之 京都大学, 農学研究科, 教授 (60192720)
田中 貴 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (20805436)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 環境負荷 / 土地利用 / 持続的農業 / 環境負荷 |
研究実績の概要 |
中国西部内陸部の集約的農業において持続可能な環境負荷軽減技術を構築するために、過度に集約化された農業生態系における環境負荷物質の収支バランスの改善に関する以下の研究を実施した。 (1)土壌病害の生態的防除の導入とその効果の評価:アブラナ科根こぶ病(葉菜類における施肥窒素の低い吸収率の一因)の生態的防除法とし太陽熱土壌消毒をアブラナ科野菜を年6作栽培する連作ハウスに導入し、処理による土壌中の菌密度の変化と消毒後の作物生産量・窒素吸収量から処理の効果を確認した。なお、植物防疫上、菌密度の測定は昆明理工大学のガラス室内で実施した。 (2)湿地の管理法の改善とその効果の評価:湿地に植栽されたヨシの飼料・堆肥化を考慮し、その刈取りの時期と程度が植物体の窒素保有量、表層土壌の一般化学性、脱窒・硝化活性に及ぼす影響および負荷物質除去能についての総合的な評価のとりまとめを行った。 (3)環境負荷と生産性の評価:調査地における集約度の高い野菜連作の環境負荷と生産性を、露地野菜および水田多毛作を対照に、負荷物質収支、エネルギー利用効率および人口扶養性を指標として評価を実施した。評価のための対象地域は、昆明市と四川省とした。 (4)管理戦略の導入効果の総合的評価:地域における物質循環モデルを構築し、家畜飼料成分の改善による乳と糞尿成分の制御などを含む管理戦略の導入が環境負荷物質収支と生産性に及ぼす影響の総合的評価を実施した。 (5)気象データの収集:太陽電池で駆動する気象ステーション(降水量、日射量、気温、湿度)を使用許可されている農家の屋上に設置し、気象データを収集・解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、過度に集約化された農業生態系における環境負荷物質の収支バランスの改善が農業による環境負荷をどのように変化させるかを評価するものである。環境負荷物質として窒素を取り上げ、①作物・飼料による環境負荷物質の吸収動態の制御、②湿地の負荷物質除去動態の解明と除去能の向上、③家畜飼料成分の改善による乳と糞尿成分の制御などの管理戦略を構築し、その効果を農家と共に現地圃場において検証することができた。そして、成果を論文化することができた。
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今後の研究の推進方策 |
管理戦略の効果を評価できる負荷収支モデルを構築し、管理戦略の導入による地域全域での負荷物質収支の改善が農業による環境負荷と生産性に及ぼす影響を総合的に評価する。そして高度に集約化された持続的農業システムの成立の可能性を提示し、成果を広く公開する。
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