研究課題/領域番号 |
26257506
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研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
服部 俊夫 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (30172935)
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研究分担者 |
江川 新一 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (00270679)
仁木 敏朗 香川大学, 医学部, 助教 (40558508)
久保 亨 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員研究員 (50444873)
C.-Y. HAORILE 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (50624821)
狩野 繁之 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (60233912)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マラリア / デング / レプトスピローシス / ガレクチン / オステオポンチン |
研究実績の概要 |
タイのバンコクにあるマヒドール大学のマラリア部スリビチャ教授及び、国際医療研究センターの狩野繁之マラリア部長との共同研究で、治療前から治療開始後28日までの、マラリア患者より得た、血漿中のガレクチン9(Gal-9)を経時的に測定し、治療効果を反映する良いマーカーであることを明らかにした。さらに重症度と関連しているかを明らかにする予定である。 申請者はデング患者血漿のオステオポンチン(OPN)とGal-9が上昇していることを報告している。そのために試験管内でのデングウイルス感染実験系をマスターの学生(フィリピンとインドの留学生)とともにフィリピンの患者血清より分離したウイルスを用いて、293T細胞での感染実験系を作成した。さらに病態を反映できるマクロファージ由来のTHP-1細胞への感染実験を構築している フィリピンのサンラザロ病院との共同研究で、レプトスピローシスの患者由来の尿を用いて、抗体とDNAの検出を行った。尿中のDNAはLAMP法での検出を行い、抗体の陰性サンプルに見られた。また尿の白血球に貪食されている細菌のDNAも検出している可能性を示した。これらよりDNAと抗体の両方を使用することが、診断の精度を上げるのに必要であった。(Diagn.Microbiol.Infect.Dis. April84.287-911 また東北地方にもレプトスピローシス患者がいることを明らかにした。その患者の年齢は高齢で、女性に多く、若い男性に多いマニラの患者とは大きく異なり、感染経路が異なることが示唆された。(Tohoku J. Exp. Med.236,:33-37,2015)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
災害感染症として知られる、レプトスピローシスにおいて簡便な検査法であるLAMPの有用性を報告した。また従来は尿中に存在するDNAは菌そものが、腎臓から排出されると思われていたが、尿中に存在する貪食細胞にある菌体由来のDNAも検出している可能性を示した。また尿中DNAは抗体が検出される前に検出されるので、抗体とDNAの双方を検出することあを明らかにできた。この研究の進展により、正確に診断されたレプトスピローシスの尿中バイオマーカーの検索も行うことが可能になった。一方で熱帯感染症である本疾患が東北地方にも存在することを明らかにでき、災害時の注意すべき疾患であることを明らかにできた。 マラリアについては、解析が進み、またその検体のさらなる収集のための努力を継続し、マラリアについてはタイの熱帯医学学会で報告を行い、論文化については同意を得ることができた。 デング熱では従来報告した患者血漿のデーターを再現できる感染実験を行うことが可能になり、さらに病態を反映できるマクロファージ系への感染実験を準備できた。
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今後の研究の推進方策 |
マラリアに関しては、重症度との相関を明らかにし、さらにマヒドールがに論文化をめざす。使用している特有な重症度マーカーであるBUNとクレアチニン比をもちいて、解析する。 デングにおいては既に予備実験でTHP-1細胞への感染を観察できる実験が成功しつつある、THP-1は無刺激状態でもOPN, Gal-9を産生する細胞であるので、その産生へのデング熱ウイルス感染系が観察できると病態を改善する方法の開発への検討も進むと思われる。 災害感染症であるレプトスピローシスの抗体・遺伝子により診断ができたので、その診断に基づく、尿のバイオマーカーの解析が可能である。既にプロテオミックス解析でユニークなスポットを検出しているので、その意義づけを行いたい。
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