研究課題/領域番号 |
26280001
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
牧野 和久 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (60294162)
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研究分担者 |
高澤 兼二郎 法政大学, 理工学部, 准教授 (10583859)
石井 利昌 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (30324487)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アルゴリズム |
研究実績の概要 |
近年,情報科学分野ばかりでなく,工学,化学,医学など多様な分野で列挙アルゴリズムが広く用いられており,ビッグデータ時代における基盤技術としてその重要性が認識されている.本研究では,様々な問題に潜む汎用的な列挙構造を抽出・解析し,劣モジュラ解析などの離散最適化の手法と融合させることにより,列挙問題ばかりでなく,探索問題や最適化問題などに対する実用的でかつ品質保証された高速なアルゴリズムの開発を行う.また,これらを通してアルゴリズム理論における新しい潮流の創造を目指し研究をおこなっている. 本年度の具体的な成果としては、銀行間の決済を円滑に行うための最適な決済順序を求める問題をグラフ最適化問題としてモデル化することで,計算の複雑さの解析を行った.その結果,一般の場合,強NP困難であることや, 多項式時間で解けるためのいくつかの仮定を示した.また,これまで得られていた正モジュラ関数における最適化問題に対する成果を改良することに成功した。 それ以外にも、平均利得である確率的ゲームに対して、その均衡解を凸計画法に基づくアルゴリズムを用いて、確率頂点の数が定数であれば、擬多項式時間で解けることを示した成果、ポジショナルゲームのおけるk-トータル利得としたときの均衡解の存在性やその性質を議論した成果、ロバスト・ナップサック問題に対する成果、ホーンルール最小化に対する最大最小定理など幅広い成果を出すことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでのFITの論文賞や国際会議ISAACでのBest Paper Awardなどの評価からもわかるように計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も高速な列挙アルゴリズムのための手法と指数時間アルゴリズムパラダイムにおいて用いられている列挙的技法の融合をはかることにより固定パラメータ容易性などの尺度の下で効率的なアルゴリズムの開発を目指す. その際,構造検証などのプログラムを作り,計算機を用いても検証する.また,実データやランダムデータを用いて,大規模にかつ系統立つ検証を行うことにより(計算機,謝金:研究補助),新しい構造の発見も試みる.これらにより,劣モジュラ関数,正モジュラ関 数,連結度に関連する構造などの重要な構造を利用したアルゴリズム開発を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
<理由> これまで得られた成果を国内外に広く発表する,また, 得られた成果などを国内外の専門家の意見を聞き,さらに発展するための出張旅費が必要であるため
<計画> 国際会議での発表、外国人招へい、研究打ち合わせの旅費などに使用する予定である.
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