研究課題/領域番号 |
26280005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
駒木 文保 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (70242039)
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研究分担者 |
諸星 穂積 政策研究大学院大学, その他の研究科, 教授 (10272387)
大濱 靖匡 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (20243892)
村松 正和 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (70266071)
田中 冬彦 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (90456161)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 予測 / 推定 / ベイズ統計 / 情報量 / 量子統計 |
研究実績の概要 |
ベイズ統計学における事前分布の構成について,潜在情報事前分布(Latent Information Prior)に基づく統一的な扱いについての研究した.予測問題における事前分布の構成法について,数理統計・計算統計の両面から研究を進めた. 数理統計の側面からは,多項分布に対する潜在情報事前分布の漸近理論に基づく近似法 (Komaki 2012) を拡張することにより,より広いクラスのモデルのベイズ予測に関して漸近理論に基づく研究を進めた.従来の漸近理論では説明ができなかった有限サンプルの推定において現れる現象について2つのオーダーを組み合わせて扱うことにより漸近理論に基づいた取り扱いが可能であることを明らかにした. 計算統計の側面からは,最適化法と高次元数値積分法の利用による近似的に最適な事前分布の構成法と数値的な応用手法の開発を行った.例えば,正規分布モデルにおいて平均がある領域に属していることだけが既知であるような状況は応用においてよく現れる.しかし,最尤推定量を代入して得られるプラグイン予測分布は許容的ではなく,さらにそれを改良する予測分布の構成法は,モデルが正則な場合とは異なりほとんど研究されていなかった.このようなクラスの統計モデルにおいて,与えられた予測分布を改良するベイズ予測分布を構成する事前分布を数値的に求めるアルゴリズムを開発し,正規分布に基づく比較的簡単な統計モデルに適用できるプログラムを作成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予測問題における事前分布の構成法について,数理統計・計算統計の両面から研究を進め,数理統計の面からは漸近理論の研究において,計算統計の側面からは,予測分布の改良アルゴリズムについて成果が得られたため.
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに進めた数理統計・計算統計に関する研究をさらに進展させる.数理統計の側面からは,観測される量と予測される量を自由に設定することにより,1期先予測の性能評価と長期予測の性能評価とを橋渡しする理論の研究を行う.これにより,目的に応じたモデル選択が可能になると期待できる.計算統計の側面からは,準乱数を用いた数値積分を用いた最適化により,パラ メータやハイパーパラメータを推定したときの,最大対数尤度やそれに基づく方法の誤差評価の研究を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は,計算統計学的な主な研究成果がアルゴリズムの開発のその比較的簡単な統計モデルへの適用であったため,計算機環境整備のための支出が大きくなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
より大規模な計算を行うための経費と国際会議発表のための経費として使用する計画である.
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