研究課題/領域番号 |
26280012
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂井 修一 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (50291290)
|
研究分担者 |
入江 英嗣 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (50422407)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | レジリエンス / 信頼性 / 安全生 / タイムボロー / 再構成 / 異常予知 / アーキテクチャ / 可用性 |
研究実績の概要 |
タイムボローによるレジリエンス向上技術に関して、動的タイム・ボローイングを可能にするクロッキング方式のための二相ラッチ生成・最適配置アルゴリズムを開発し、さらにこれを改良した新しいアルゴリズムを提案した。その上で、実用的な中規模論理回路である積和演算器などに改良アルゴリズムを適用したところ、本アルゴリズムが正確に動作し、所期の性能を得られることを確認された。これにより、論理回路の動作時にステージ間で回路遅延を融通し、遅延の最悪値ではなく典型値に近い近い遅延時間(=クロック周期)で動作させることが可能になることがわかった。 ストリーム指向の防御については、我々の提案した文字列ごとの情報フロー追跡手法であるSWIFTが、パターンマッチングによって防御できるような通常の攻撃だけでなく、ゼロデー攻撃や標的型攻撃の多くを防御できる技術であることを確認し、前年度に引き続きインターネット系の企業と検討を進めている。 実時間的な異常検知については、VMセキュアプロセッサを使ってクラウドフォレンジックを行う手法を提案し、有効性の初期的検証を行った。ここでVMセキュアプロセッサは、暗号化やハッシュ値・電子署名生成機能を組み込んでおり、特にこれを用いてログファイル管理システムを新規導入することで、ログファイルの機密性・完全性・真正性を確保することができ、従来のソフトウェアベースの手法よりも強固かつ効率的なフォレンジックが実現することを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タイムボローによるレジリエンス向上技術に関しては、動的タイム・ボローイングを可能にするクロッキング方式のための二相ラッチ生成・最適配置アルゴリズムの開発と改良、実用的な中規模論理回路への適用など、前年度に引き続いて順調に成果をあげ続けており、学会研究会での発表も順調で、期待した以上といえる。 ストリーム指向の防御については、提案手法の有効範囲が予想以上に広いことがわかり、着々と実用化に向けての検討段階に入ってきている。 実時間的な異常検知については、新たにVMセキュアプロセッサを使ってクラウドフォレンジックを行う手法を提案・初期的検証を行った。これにより、従来のソフトウェアベースの手法よりも強固かつ効率的なフォレンジックが実現することがわかり、これについて研究会発表を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
タイムボロー技術については、アルゴリズムの基本が完成したので、これをより一般的な中大規模回路に適用して、有効性を確実なものとする。また、この過程で必要になれば、ラッチ挿入場所についてのさらなる検討を進め、アルゴリズムを改良する。 ストリーム指向の防御については、その有効範囲についての検討を進めるとともに、実用化に向けて何が必要かを精査し、基本部のWWW公開などを検討する。 フォレンジック技術については、VMセキュアプロセッサの実装とともに、具体的な攻撃を想定しての実験・検証を行っていく。 統合技術については、VMセキュアプロセッサを軸に設計を進め、ハードウェアオーバヘッド、消費電力、面積などについて検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
設計支援サーバ、シミュレーションサーバなど購入は行ったが、これらはこの年度ではPCで所期の成果をあげることができ、最終年度の拡張部をもって本格的な検証作業を行うこととなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
シミュレーションサーバ拡張部など、やや規模の大きな備品による成果の検証、成果発表などに予算を使うことを考えている。
|