研究課題/領域番号 |
26280023
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
八杉 昌宏 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (30273759)
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研究分担者 |
平石 拓 京都大学, 学術情報メディアセンター, 助教 (60528222)
光来 健一 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (60372463)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | プログラミング言語 / 計算機システム / ソフトウエア開発効率化・安定化 / ディペンダブル・コンピューティング / ハイパフォーマンス・コンピューティング / 性能評価 / 負荷分散 / 仮想環境 |
研究実績の概要 |
提案しているL-closureと呼ぶ計算状態操作機構について、以下の研究を実施した。 1.新しい処理系や言語仕様の調査・比較やベースとしての活用:GCC 6やOpenMPなどの調査を進めた。 2.計算状態操作機構を持つ拡張C言語の言語仕様や実装・性能モデルの改良:GCC 4以降やLLVMではRTLレベルでのL-closureの実装が困難であるため、変換ベースの実装を発展させようとしている。Java言語(例外処理可能)への変換ベースの試験実装として変換例を作成した。また、S式ベースの拡張Java言語処理系の実装の改良を視野に入れ「S式ベース言語処理系」に部分列に関する条件が扱えるようなパターンを追加した。 3.冗長実行や負荷分散やマイグレーションにより仮想化・階層化・ヘテロ化なども想定して並列システムにおける資源を有効活用する手法の開発:バックトラックに基づく負荷分散に関して多数のコアを持つプロセッサを有効活用するため、確率的に局所性を高める方式の成果発表、MPIを利用した処理系の大規模環境での評価(Intel Xeon Phi等で実行)の成果発表、並列探索の動的な枝刈りを例外処理により行う処理系/手法の改善と分散環境への対応、仮想化における計算環境の変化とそれへの対応の評価、仮想環境を考慮した負荷分散方式の試験実装の予備評価、を行った。また、階層的計算省略に基づく並列実行モデルについては高水準プログラミング言語の設計と処理系実装、このモデルを支えるスケーラブルなメッセージ媒介システムの実装を進めた。どちらの並列実行モデルも、評価用アプリケーション・実アプリケーションの開発を進めた。 4.ごみ集めや一級継続がサポートされた高水準言語の実装:変換ベースのL-closureの実現方式を利用可能なLispインタープリタの整備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初から計画していた研究項目に関しては、新しい変換ベースの実装方式と一級継続がサポートされた高水準言語の実装の研究で遅れがあるほかは、おおむね順調に進展している。 新しい変換ベースの実装方式に関しても、C言語以外の言語(Java言語)で試験実装するための基礎研究が当初の予想よりも奥深いものであったため、ある意味では計画以上に進展したといえる。 一級継続がサポートされた高水準言語の実装の研究も、Lispインタープリタの整備を行う過程で、多くの課題が見つかっている。 また、バックトラックに基づく負荷分散に関しては、計画以上の成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
成果の得られた研究項目については、対外発表を進めていく。基礎研究において課題が見つかった研究項目については、研究項目の当初の目的に沿う形で、サブ課題に幅広く取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
H28年度は当初の計画より旅費が必要となり、入札による物品調達を進めなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の入札による調達の際に余裕を持たせる形で使用する。
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