研究課題/領域番号 |
26280029
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長谷川 浩 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40323802)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ネットワーク・LAN / フォトニックネットワーク |
研究実績の概要 |
本課題の主題かつ特長である粗粒度でのルーティングについては、そのネットワーク内で具備する機能の関係上、社会のインフラストラクチャとして必要となる対故障性の強化を達成しようとするとネットワーク最適化が極めて難しくなることを見いだした。この特性は、ネットワーク最適化の数理的な意味での困難さを増すだけでは無く、本質的にネットワーク全体の効率性を押し下げることとなる。そこで、高信頼化を達成しつつ、所望の粗粒度でのルーティングを現実的な解として維持するために、周波数領域における高密度化を導入しつつ粗粒度レベルでの共有型プロテクションの手法を新たに開発した。更にネットワーク全体の設計手法として、困難かつ複雑な問題で適切な解を得るための解の更新方法についてもその効果の見積もりを行った。。また、ネットワーク同士をダイナミックに結合するための粗粒度ルーティングの部分的な導入と活用について、検討を実施した。
一方、粗粒度ルーティングに付随して、ノード装置の拡張性や、光ネットワークのエッジとして必ず付随する電気ルータの低消費電力化などの検討もあわせて行った。後者では、最新の学習理論をベースにしつつ、電気ルータのトラフィックに応じてのダイナミックな性能制御手法を開発している。これまでのトラフィック予測では、雑音的なランダム変動も含めた高精度な予測を目指していたが、ランダム性が本質的に予測を困難としていた。そこで、本研究ではルータにバッファメモリが備わっている点に着目し、バッファによる平滑化効果等を加味しつつ、学習効果が最大限に得られるようにスケーリングを行うことで、実際に必要と見込まれる性能をリアルタイムで導くことで電力消費を抑えつつ通信データがドロップされる確率を非常に小さくすることに成功している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ネットワーク内での粗粒度ルーティングが提供する論理的なショートカット接続の運用については、当初目標通り着実に実施しており、対外公開を実施するだけのところにこぎ着けている。数値実験の都合と学会投稿時期との関係で、年度内に初期の成果を発表できず対外的なインパクトを与えられなかったのが唯一残念な点である。また、粗粒度ルーティングに付帯する各種の要求条件については、高信頼化の効率の良い達成法など、新たな提案を行っている。また、学習理論を応用したネットワーク要素の制御については、従来にない電力消費の削減割合を達成している上、応用範囲は電気ルータだけにとどまらず、光ネットワーク内部での適用可能性が視野に入っている。このように、主要研究課題を着実に進めているほか、関連課題での成果と新規性のある手法を導いており、十分な達成度を得ていると考えている。主要課題での年度内の対外発表の未了に鑑みて「おおむね順調に進展している」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
基本的には当初目的通りの実施を行うことで最も効果的に成果が得られると考えている。現在研究開発を実施中の、ネットワークのダイナミックな結合法については近々成果を公開する予定であり、更なる性能向上を達成するための枠組みについても検討を開始しているところである。
|