研究課題/領域番号 |
26280035
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
山田 茂樹 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 教授 (80332154)
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研究分担者 |
計 宇生 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 教授 (80225333)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ネットワーク / 移動体通信 / インターネット高度化 / 先端的通信 / スマートセンサ情報システム |
研究実績の概要 |
IoT分散サービスをスケーラブルに実現するため、ネットワーク制御機能と転送機能を分離したIoT向きSDN制御技術と、IoTデバイスの効率的な無線リソース割り当てを実現するSDR (Software Defined Radio)制御技術を研究した。 (1)SDN制御技術:IoTデバイスやデバイス間通信リンクが障害になった場合、SDNコントローラからの事前指示に基づき、SDNスイッチで通信ルートの高速切り替えを行うLocal Fast Failover方式を提案し、実装した。その結果、SDNスイッチ単体レベルの通信ルート切り替え時間は20ms-40msと高速に実現できることを実証した。また、既存IPルーチングプロトコル(OSPF, RIPv2)をSDNアーキテクチャ上に実装し、シミュレーションで評価した結果、通信ルート切り替え時間はOSFPプロトコルの単一障害時に3.8-3.9sec、2-4個の複数同時障害時に4.1-5.4sec、RIPv2プロトコルでは15-60secと低速であり、その要因は既存IPルーチングプロトコルの各種タイマ値に起因することを明らかにした。 (2)SDR制御技術:干渉と電力消費を抑えつつ、異なる無線アクセス技術間でシームレスに無線リソースを管理する制御法として、広エリアをカバーするマクロ基地局と小エリアをカバーするピコ基地局からなるHeterogeneous Networkにおいて無線リソース(帯域)を最適に割り付けるアルゴリズムの基礎検討を行った。またIoTデバイス間をインターネットアクセスポイントまでを無線マルチホップで接続するツリー型アクセスネットワークを理論面と実装面から検討し、屋外実証実験により、IoTデバイス間距離が15mで20ホップ程度、IoTデバイス間距離が30mで16ホップ程度まで実現できることを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SDN制御技術とSDR制御技術を理論面と実装面でバランスよく検討した結果、ほぼ、当初の想定どおり、研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)SDN制御技術: 多数のIoTデバイスを効率よく制御するために、IoT制御のアプリケーションとSDNコントローラ間で、高効率で多様なアプリケーションに柔軟に対応可能なNorth Bound API (Application Programming Interface)の検討やIoT向きルーティング手法としてSDNとSource Routing法を組み合わせた新しいルーティング方式等を検討する。 (2)SDRの実現法 広エリアをカバーするマクロ基地局と小エリアをカバーするピコ基地局からなるHeterogeneous Networkにおいて無線リソース(帯域)を最適に割り付けるアルゴリズムの検討をさらに深めるとともにIoTデバイス間を無線マルチホップでインターネットアクセスポイントまでを無線で接続する場合のルート発見戦略などを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の本研究経費で特任研究員(Hao Zhou氏)の雇用を予定していたが、雇用手続きに必要な書類の準備に時間を要し、当初予定より遅い平成27年2月に雇用開始することになり、雇用経費の実績が予定より少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度における特任研究員(Hao Zhou氏)の雇用期間の延長等に使用予定。
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